Canon EOS D6000 入荷編

※当ブログ記事は、新しい知見、事実、証拠が確認され次第、加筆、修正をしていきます。
皆さんこんにちは。本日は、希少なカメラが入荷(2025年秋のことです)しましたので、ご案内させていただきます。しかも!稼働品です!
入荷を機に、EOS D6000 について詳しく調べたけれど、資料が少なすぎ、途中すぐに行き詰ってしまいました。
諦めず断片的に残された僅かな情報をもとに、EOS D6000 について深堀に挑戦しています。次の記事(Canon EOS D6000 外部電源装置作成&セル交換)で、現代でも活用できるよう工夫を凝らした改造も行っています。それぞれ、相応の長文ではございますが、Canon党の皆様どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。それでは、始めます。
■機材紹介
このカメラ。中古市場でも、めったに見ないカメラです。実機を見るのは、今回初めてで、ヤフオクでの過去10年分の取引状況から見ても、数の少ないカメラであることに間違いないようです。※姉妹機である Kodak DCS 560 は、現在でも、ebayで、少数が取引されている様です。満Qにも、過去入荷した実績が有ります!
過去記事 ⇒ 「Kodak DCS 560 Canon D2000 2個イチ改造記録」⇒貴重な機体の復活劇をお楽しみ頂けます。

1998年12月発売開始のデジタル一眼レフカメラで、当時のキャノン社のフラッグシップ機 EOS-1n をベースにコダック社のデジタルバッグ(600万画素 APS-H サイズの CCD センサー搭載 価格は、360万円)を搭載したモデルです。キャノン社とコダック社から、別々のモデル名(中身は、ファームウェアが異なるだけ)で発売されたのですが、キャノン社のモデル名が、EOS D6000 で、コダック社のそれは、DCS 560 になります。DCS 560 はアメリカやヨーロッパで数多く販売されたのに対し、EOS D6000 は日本限定モデルでした。

■発売当時の時代背景
1990年台、デジタルカメラは報道やスタジオ撮影の現場で活躍し始めていたのですが、巷はフィルムカメラの全盛期であったこともあり、一般人には、まだまだなじみは有りませんでした。EOS D6000 発売開始の1998年のデジタルデバイスの普及率を見てみます。当時のパソコン普及率は約 25%で、インターネット普及率は 13.4%です。デジタルカメラの普及率は2002年からしかデータが有りませんが、 22.7%です。1998年では、販売されている機種が極わずかでしたので、おそらくほぼゼロに近い状況だったのではと、推測します。

■Canon EOS D6000 生産台数についての考察
Canon EOS D6000 にどれほどの需要が有ったのでしょう。生産台数は公表されていませんが、極わずかであったと思われます。なぜなら、国内でしか、販売されなかったこと。価格が 1台 360万円もしたこと。業務用カメラとの位置づけで、ターゲットは主にプロカメラマンであったこと。スマホも無く、パソコンもネットも普及していない時代に、一般人がデジタルカメラを必要とする理由は少なかったはず。プロの世界であっても、新人国家公務員の年収を上回るような高価なカメラに、会社の撮影機材を一斉に入れ替えたとは考えにくいです。まだまだ、フィルムカメラがメインで活躍する時代であったことは疑いようがありません。
ヤフオクなどで取引された機体のシリアル番号から EOS D6000 の生産台数を推測してみます。※サンプル数が少な過ぎるうえ、kodak シリアル番号が生産台数を示す数値かどうかの確証も取れていません。推測した数値には、かなり無理が有るのですが、恐れず、記述してみます。

上の表は、EOS 自体に記されたシリアルとデジタルユニットに付された Kodak シリアル番号の一覧になります。EOS のシリアルは、番号と生産日が比例しています。EOS-1n のシリアルは、28万番台が最終(収集サンプルの内、一番新しいシリアルが、283293)です。収集したEOS D6000 に付された EOS-1n のシリアル 番号の範囲は 250993~269989 で、Kodak のシリアル番号は 533~646 でした。EOS-1n のシリアルが 168 進むごとに、Kodak のシリアルが1つ進む計算です。
ここで、EOS D6000 の発売が始まった時点の EOS-1nのシリアル番号を推測してみます。EOS-1n は 1994年11月 発売開始。その3か月前の1994年9月から、EOS-1V が発売される3か月前、1999年11月まで、製造されていたとします。製造期間 63 か月。製造総数は、EOS シリアル番号から、185,000台(シリアルスタートは 100001 ~)。1か月平均2,936台製造。(2026.08 加筆:シリアルナンバー研究家の Mackie 氏によると、EOS-1D シリーズの量産開始は、発売日3か月前からとのこと。DP REVIEW によると、のちに発売される EOS-1D 初代の月間生産台数が3,000台とのこと)ということは、EOS D6000 の発売開始が 1998年12月なので、1998年8月までに、EOS-1n は141,000台ほど、製造されていたことになります。つまり、EOS D6000 に付された EOS-1n の最初のシリアル番号は 241000 前後となります。
EOS D6000 も EOS-1V の製造が開始される1999年11月まで生産されていたとして計算すると、EOS D6000 の製造数=(285031 - 240977) ÷ 168 = 262 台と推測できます。
しかし、Kodak のシリアル番号で、一番大きな数値は、646 です。整合しません。過去数年分の売買取引履歴における、EOS D6000 に付された Kodak のシリアル番号は、500番台と600番台だけです。そのほかに、EOS D2000 、DCS560 、DCS520 のシリアルサンプルを、合計 25例 収集しましたが、500番台より前の番号が見当たりません。もしかして、シリアル番号のスタートは500番からか?そうだとしたら、やはり、EOS D6000 の生産数は「300台にも満たない」ということになります。
Canon 社のシリアルおよび、Kodak 社のシリアル番号のどちらからも、製造数は極めて少ないとの推測には整合性があるように思います。
( 2026.07 加筆:Kodak 社のシリアル番号の採番は、必ずしも「1」からではなく、昔から法則性や一貫性が無いため、解明には、相応のサンプル数が必要になります。引き続き収集し、製造数解明にチャレンジしていきます。)
■シリアル番号から見る EOS-1nD 製造日に関する謎

上の表は、収集できた EOS-1nD のシリアル番号の一覧になります。機種ごとに、シリアル番号に片寄が有ることが見て取れます。D2000 は213000番台~257000番台まで。D6000 は251000番台~。DCS シリーズは234000番台~
続いてシリアル番号から見る、EOSボディーの製造日一覧を見てみます。

どう読むか? Canon 社では、EOS-1 系の製造は、発売日3か月前から開始するはずだが、D2000 にシリアル 213024 番が存在する。上の表で見れば、D2000 に使用された EOS ボディーの製造日は、発売日より1年も前になります。発売は、1年以上前にすでに決まっていて、Kodak社から、改造内容の詳細がすでに届いていたと見てもいいのではないでしょうか。まずは、D2000 と DCS シリーズを製造。そして発売日前後に、D6000 を製造していたことが、シリアルから想像できます。
ここで、以前に Kodak DCS 560 を分解整備した際に見た内部の改造構造を示します。⇒ フィルム巻上モーターが無く、フィルム室には錆止め塗料が塗布されていた。⇒ ファインダープリズムユニットは、D6000 および D2000 それぞれ専用のものに入れ替わっていた。⇒ カスタムファンクションの内容が一部削除、書き換えも有った。⇒ 測光センサーが16分割から12分割に変更になっていた。⇒ シャッター幕の後、デジタルセンサーを取り付けるための改造がされていた。⇒ カメラとデジタルユニットを接続するためのコネクター付きコード類が多数カメラ基板から出ていた。⇒ ファームウェアーが異なっていた。分かっている内容だけでも、相当の改造です。
しかしながら、当時製造台数が極端に少ない機体を、ラインに乗せて、定量的に製造していたとは、考えにくく、技術者が個別に製造途中の機体または、すでに製造の終わった機体を改造して製造していたと考える方が現実的のように思います。改造が手作業の為、通常より早く製造(改装)に取り掛かったと判断すると説明が上手くいくように思います。DCS のシリアルから、Kodak 社へは、1998年に入ってから、改造済み機体の納入が始まったと思われます。生産台数も多かったため、1999年中ごろまで、供給されていたようです。ですが、2000年6月に入ってから、付属品の内容を変更して、大幅値下げ(当初198万円だったが、85万円で処分)で Kodak 社のデッドストックを処分していた事実は、あまり知られていないです。
もう一つの仮説。改造に使用したEOSボディーに、製造後時間が経過したストックボディーを使用した可能性。もし、そうなら、仮説のほとんどに整合性が取れなくなってしまいます。
ちなみに、1987年から販売されている EOS シリーズは2023年までにフィルム・デジタル込みで 117 種、約 1 億 1,000 万台製造されました。1 機種平均 94 万台製造されたことになります。なのに、EOS D6000 は 数百台程度。いかに、製造数が少ないか(希少性)を示す数値だと思います。

■国内保存の重要性
上記の内容および、発売後28年以上経過していることを勘案すると、現存する機体は、ごく少数だと思われます。しかも、まともに動作する機体ともなれば、更に一握りであろうことは、想像に難くないです。現在、修理を受け付ける業者もなく、部品の入手も困難なことから、動作機体は、今後増々減少していくであろう状況です。
しかも厄介なことに、ここ最近、デジカメ黎明期を支えたカメラとしての歴史的価値を見直す動きが、中国人によって活発になっており、日本から、どんどんと持ち出されています。フィルムからデジタルへと移行する過程における、キャノン技術の転換点を示す象徴的な存在と言える EOS D6000 に、我々はもっと、文化遺産的価値を見出し、国内で、大切に守るべきだと考えます。デジタル一眼レフの歴史の証人であり、博物館級の希少機材ですから。
・※2026.08 加筆:中国のフリマサイト 閑魚(シェンユー)での EOS D6000 出品状況を確認しました。
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シリアル番号等の情報は、開示されていませんでした。お値段 ¥9,999!安っ!って思ったあなた!騙されますよ。(騙されそうになったのは、私なんですけどね。価格を見た瞬間から、購入方法を必死になって調べ上げましたから。はい。)中国の通貨は「元(人民元)」で、加筆時の為替レートは、23.22円。「元」の表示は、日本と同じ「¥」なのです。紛らわしい!つまり、お値段日本円で 232,176円になります。やばかった!おそらく、高く売れる中国で、転売することを目的に、日本のヤフオク等で輸入代行業者を経由して、仕入れているのです。文化遺産級カメラに限らず、状態の良いデジタル・フィルムカメラ全般が、今大量(日に数千台規模で)に、中国へ流れています。入札者の評価数値が、数千~5桁の場合、ほとんどが代行業者か、転売ヤーのIDで、落札されたカメラは、中国へ輸出されていきます。
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私のように、カメラ沼の底にいらっしゃる方なら、最近感じている方も多いはずです。そう、日本のカメラ店から、中古カメラ特に、(デジタル・フィルムカメラ問わず)2010年以前に製造されたカメラやレンズの在庫がどんどん、減少している事実を。国内に流通しているカメラが極端に減少しているのです。

実は、流出原因はもう一つ。上の画像は、ebeyに出品されていた Canon EOS DCS 3cですが、価格は、中国同様に日本の相場より、遥かに高値で取引されています。最近各地に、急激に増えた、「買取処」で集められたカメラも同様に、アメリカや中国に大量に流されているのです。このままでは、近い将来、今の日本の中古カメラ市場から、2010年ころ以前に製造された、状態の良い機体の在庫が枯渇し、入手困難かつ、価格高騰の状況に陥ることが懸念されます。今後、日本製のクラシックカメラを趣味にしようとするユーザーの購入先が、中国やアメリカになってしまうのかもしれないですね。

■Canon EOS D6000 を使用する意義
文化遺産的価値を見出すことは簡単ですが、実際に活用することの意義に関しては、少し整理が必要です。スペック的に現代のカメラに勝る機能は有していません。使い方が重要だと思います。
CCD センサー:当時は、未完成だった CMOS センサーの画像よりも、発色が良いと評価されていましたが、現在では、CMOS センサーの性能には敵いません。しかしそんな CCD センサーの画像データも、現代の高性能な現像ソフトの恩恵を受けることが可能です。
画素数:使用の範囲は絞られますが、600万画素もあれば、スナップ撮影には十分なスペックだと感じます。
連写性能:「秒間1コマ。最大3コマまでの連写が可能。」決定的シーンの撮影には、慣れと技術が必要になるようです。それにしても・・・・・・・・・・「そのスペック連写と言えるのか?」と思うのは、私だけでしょうか?
高感度耐性:ISO 80~200 までしか設定できない。日中の屋外撮影では、問題なく使用可能です。しかし、室内撮影や夜間撮影には、大口径レンズやストロボの使用あるいは、三脚の使用が必要になり、使うシーンを選ぶカメラです。
現場での注目度:すさまじい視線を浴びることになります。現在のデジカメでは聞くことのできない、小気味よいシャッター音に気づく年配のおじさまからの視線が一番アツイです!この後実施したテスト撮影時には、「ちょっと見せてくれないか」と声を掛けられたほどです!もしかして、最大の意義はこれか!?
いえいえ。実際にオールドデジカメを使用されている方は一様にこう、おっしゃいます。「不便さを楽しむカメラ」なんだと。光を読み、動きを読んで、一瞬のチャンスに集中し、一発勝負であったフィルム撮影の時と同じように、被写体に向き合うんだと。不便な?カメラを使用されていらっしゃる方って、今までの経験上、だいたい写真がお上手なんです。最新のデジタルを所有されているにも関わらず、それでも、オールドデジカメを積極的に活用されるのです。写真の本質(撮影者の明確な意図や意思、価値観のようなものを1枚の写真に込めること)って、きっと、そこに有るのでしょうね。私のような未熟者には、到底理解、真似などできないような、深い世界です。

総じてまとめると、こんなスペックの低いカメラ(敬意を払いあえて)を、わざわざ、実用するよりも、「持ち出すことにより故障させてしまうかもしれないリスクを避け、部屋で、美味しい酒でも飲みながら、お気に入りのレンズを装着し、その美しいフォルムを、ただただ眺めて悦に浸り、たまに、シャッターを切って、その音を楽しむこと」に専念する方が、得策だと感じます。(笑)機械部分、特にシャッターユニットや、デジタル部分の液晶画面などは、消耗品であり、故障すると、修繕不能となります。現在、作動する機体が存在していること自体が奇跡であり、そんな機体を所有されていらっしゃる方は、選ばれしカメラマンだと言っても過言ではありません。そして所有者には、「稼働する状態で、大切に温存すること」が、求められているのだと思います。理由あって、手放す場合には、相手を吟味し、機体が抱える存在意義を十分に伝え、理解し共感していただける相手を探し出す必要が有るのだと考えます。
※当ブログ記事は、新しい知見、事実、証拠が確認され次第、追加、加筆、修正をしていきます。
・外部電源装置作成&セル交換 記事。 2026.05 追加
・EOS D6000 関連 CCD CMOS 色の違い 記事。 2026.08 追加
・Kodak社のシリアル採番は、1 ~ 始まるわけではない件。2026.07 加筆
・EOS-1D系機体の、月間製造数および、量産開始日の件 2026.08 加筆
・中国フリマサイト 閑魚(シェンユー)でのEOS D6000 出品状況 2026.09 加筆
次回記事に続きます。下のリンクから、ぞうぞ。
■関連記事
・Canon EOS D6000 外部電源装置作成&セル交換 記事はこちら
⇒電池問題から、開放される記事です。
・CCD CMOS 色の違い 記事はこちら
⇒タイトル通り センサーが紡ぎだす色味を考察します。
・「Kodak DCS 560 Canon D2000 2個イチ改造記録」 記事はこちら
⇒故障機体の復活劇をお楽しみください。
⇒内部構造の理解が深まります。
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