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NEW FD 35-70mm f4 AF 改造整備記録詳細編 高知市リサイクルショップ お宝市場 満Q

皆さんこんにちは。本日は、過去のレンズ整備・備忘録記事の詳細が知りたいとの声をお客様から多数頂いたので、記録していた写真を拾い集め、記憶のかぎりを明記しようと思います。リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな内容にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、第2回「canon NEW FD 35-70mm f4 AF」分解整備詳細編を始めます。よろしくお願いいたします。

 ジャンク品として当店に入荷した、このレンズの詳細に関しては、過去記事を御覧ください。本日は、整備の際に注意しないといけない内容、各種調整の方法を詳しくご説明していきますね。(分解工程は、ネット上に多数アップされていますので、そちらを参照して下さい。)

 まずは、触ってはいけない箇所をご紹介致します。

 レンズ先端部にある、白いカニ目のあるリング。外してしまうと上の写真のように、部品がバラバラと落ちてきます。復旧にはどえらい時間を要しました。触る必要のない箇所です。スルーしましょう。

(接着箇所は全部で4箇所あり、写真の個体では、赤丸部分の2箇所が破損している。)

 続いて、電池室の底部分。電池BOXの出し入れ時の衝撃で、躯体プラスチック部分の接着箇所(写真赤丸部分)が破損している個体が多いのですが、分解ついでにエポキシ系接着剤で、ガチガチに固定しておきます。

(ネジの周りの樹脂スペーサーが崩壊し、ネジは溝の中で、ぐらついています。)

 AFユニットを取り外したレンズ躯体内部。3種類のネジが見えています。それぞれ、前玉レンズユニット③と中玉レンズユニット②を支持しているネジ、ズーム機能を支持しているネジ①です。よく観察すると、そのネジの周りに本来ならある樹脂スペーサーが、経年で崩壊して、グリスと混ざり、粘土状のゴミとなり、溝の端に堆積しています。

 このコロの周りにあったはずの、樹脂スペーサーがなくなっていると、ネジにより支持されている各レンズユニットが、躯体の中でぐらつきます。そのため、ピント精度が著しく低下してしまうのです。

(ネジの周りにスペーサーをはめ込んで修繕)

 ネジは3種類とも、大きさが異なるため、それぞれに合ったスペーサーを、他のレンズから流用したり、工業製品の中から、サイズの近いものを選び、調整加工したりと、とにかく、なんとかして、確保します。サイズはシビアで、わずかでも、溝とネジの間に隙間ができると、ピント精度は低下します。

  次は中玉レンズユニット。赤丸のネジ3箇所(1箇所は写真には写っていない)で、固定されていて、そのネジの締め具合で、位置調整されています。中玉レンズユニット、後玉レンズユニットは、ガラスにカビなどがなければ、わざわざ分解する必要はありません。少々のカビならば、触りたくない箇所になります。

 取り外した中玉レンズユニット。裏側には、リングバネがありバネ圧で位置を調整する構造になっています。一回分解してしまうと、必ず調整が必要であることが分かります。それでは、中玉レンズユニットの位置調整方法を。ひとまず、中玉以降のレンズの清掃が終了すれば、ユニットを元通り、3本のネジで躯体に固定しておきます。その際、ネジは3本とも最後までねじ込んでおきます。締め付けておきます。

 写真のように、前玉レンズユニットも元通り躯体に戻し、カメラにマウントします。ライブビューで遠景を見ながら、ピントリングを回し、ピントが合う箇所があるかどうかを、確認します。中玉レンズユニットの位置が所定の場所でなければ、どこにもピントが合わないはずです。中玉レンズユニットのネジの締め具合を徐々に緩めながら、何回か同じ作業を繰り返し、ピントの合う箇所を探り当てます。これで、中玉レンズユニットの位置調整は完了です。確か、それほど難しい作業ではなかったはずです。 

 

 次は、最難関のズーム機構の調整です。このレンズ、バリフォーカルレンズではなく、ズームレンズです。つまり、例えば焦点距離70mmでピントを合わせたあと、焦点距離を35mmにしても、ピントは合ったままになるレンズなのです。この、ズームピントの調整方法は、実は解明できていません。(いい加減な内容で、申し訳ありません)

 しかし!調整箇所はわかっています。先に掲示したレンズ躯体内部の写真にあるネジ①をよく観察して下さい。一番大きなネジで、ネジの周りにある金色の円盤にカニ目があります。ですが、ネジはその円盤の中心ではなく、片方にズレていますね。その円盤を回転させることにより、調整する構造になっています。

 樹脂スペーサーを予めセットした状態で、中玉レンズユニットの位置調整のときのように、前玉レンズユニットを組戻し、カメラにマウントして、遠景にピントをあわせます。ネジは両方とも、緩めておき、ズームリングを回しながら、両方の円盤の位置をいろいろと回転させ、ズームしても、ピントがズレないポイントを探っていきます。とにかく、私の場合は、いじくりまくり、偶然的に調整ができました。何を、どうすれば上手くいくのかは、結局分からずですが、調整箇所はココで間違いありません。皆さんも、根気よく挑戦してみて下さい。(笑)

 そして最終工程、フランジバッグの調整方法です。AFユニット、前玉レンズユニットを組戻し、赤丸位置にあるネジ3本をゆるく締めておきます。AF機構で、遠景にピントを合わせ、その後、ライブビューで画面を見ながら、前玉レンズユニットをゆっくりと回し、ピントを合わせます。(機械のAFと、レンズのピント位置を合致する工程)ピントが合った場所で、3本のネジを本締めして、作業完了です。このフランジバッグ調整は、マウントアダプターごとに調整が必要です。つまり、マウントアダプターの精度が個々で狂っているからです。

 整備が完了した2本のレンズの内、1本はFDマウントからEFマウントに改造し、海外製の第6世代たんぽぽチップを、装着してあります。チップ内のデータも書き換え、35mm f4レンズとして、イグジフデータも入手できます。もはやFDレンズではなく、EFレンズと言えるほどの仕上がりがお気に入りのレンズです!マウントアダプターを使用しなくても良いため、レンズ本来の映りを楽しむことができるようになりました。(FD-EFマウントアダプターには、補正レンズが組み込まれており、画角も解像度も変化してしまいます)

 最後に、レンズチャートによるテスト画像をご覧ください。テスト機はEOS5D2で三脚使用、自然光、セルタイマー撮影。ISO 100 ピクチャースタイルは風景、ホワイトバランスはオート。撮影距離 1m AFで合焦させました。

70mm f4
70mm f8
35mm f4
35mm f8

 開放値では、映りが甘いですが文句はありません。優秀です。AF速度や作動音、精度は、現在の技術には、到底及びませんがAF時代黎明期に登場した文化遺産的なこのレンズ。現在でも、正常に動作することの意味は決して小さくないと判断しています。

 以上が整備記録の全てです。いかがでしたでしょうか。調整方法さえ、解明できていたら、決して難しい作業ではありません。ネット上には、分解フローがアップされていますが、それを真似して分解したならば、組戻し時の各種調整方法が分からず、おそらく使えないレンズになっていることでしょう。この記事が、そんなレンズたちを再び、復活させるための参考になれば、嬉しいです。

 整備が終了してから、かなりの時間が経過しており、記憶に間違いがあるかもしれません。今回の記事は参考程度にとどめておいて下さい。なお、改造に使用したマウントは海外から個人輸入したものですが、すでに販売は終了しているようです。たんぽぽチップは代を重ね、現在、アマゾンやアリババなどで、第9世代が販売されていました。(第6世代以降のたんぽぽチップは、レンズの焦点距離情報と、開放F値を任意の数値に変更することができますが、変更方法に関しては、いずれ公開します。それ以前のチップは焦点距離 50mm f1.4 固定になっているはずです。)

 最後に、お約束事項。改造・分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

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ジャンクカメラ大量に入荷しました!高知市リサイクルショップ お宝市場満Q葛島店

 皆さんこんにちは!

 大量にフィルムカメラが入荷しました!いずれも、動作未確認のジャンク扱いのカメラセットです!限定1セット26台入り!お値段なんと!税込み13,200円。

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CHINON 35F-MA /INFRAFOCUS試写結果 高知市 リサイクルショップ お宝市場満Q 葛島店

CHINON INFRAFOCUS 35F-MA 

 皆さん、こんにちは。本日は整備が完了した、希少なフィルムコンパクトAFカメラでの試写結果を発表させていただきます。

 リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな内容にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、第2回「CHINON INFRAFOCUS 35F-MA 試写結果報告」編を始めます。よろしくお願いいたします。

一瞬、問題ないように見えます。が・・・・・

 

四隅が流れています。

 御覧ください。このひどい解像度を!ぱっと見、まともに写っているように見えますが、どこにも、ピントが合っていません。四隅も流れています。(涙)やはり!レンズの向きが逆さまのようですね。

解像度不足です。

 ち~ん!はい、やり直し!再分解整備の始まりです。トホホ・・・・ここまで、フィルム代、現像代、画像データ化台、合わせて3,500円也!全てパー。(悲)

 再整備を終わらせ、気を取り直し、後日、再度試写実行!経費のことを考え、フィルム代金をケチり、店にある期限切れフィルム(商品)を使用することに!使用期限は1997年9月。実に25年も経過したフィルムです。一抹の不安を覚えたものの、テスト撮影敢行です!

期限切れフィルム コニカLV100

 ちょっと脱線します。昨今のフィルム写真活動は、お金がかかる趣味となりましたね。フィルムも一定程度の需要はあるものの、使用人口の大幅な減少に伴い、製造本数も減少し、価格が高騰しています。現在、フィルム代は全盛期の2倍を超えています。期限切れフィルムでも、ちゃんと写せるという知識は持ち合わせていたものですから、店舗でも販売はしておりました。しかし!使用方法に一工夫が必要であることは、全く知りませんでした。とにかく、何も考えずに、そのまま期限切れフィルムで撮影した試写結果をご覧ください。

露光不足。
何が写っているのかするわからない。

 レンズの向きが上手くいったかどうかの確認すらできません。完全に露光不足。ほとんどのカットは、真っ暗で、この2カットだけ、かろうじて写ってたって感じ。一瞬、再分解の際に、カメラ内の露出計を壊してしまったのかと思いました。カメラのシャッター速度が、明るさに応じ変化していることを確認したので、カメラの故障ではなさそうです。やはり、フィルムのせいか!と、がっかり!。安物買いの銭失いとは、まさにこのことだな。なんて後悔しながら、店舗のフィルムの廃棄のことを考えていました。

 念のため、期限切れフィルムについてググってみると、期限切れフィルムの使用には、コツが必要であるとのこと。そのコツとは、露出補正!経年に伴い、公証ISO感度が低下するんだそうだ。期限切れ10年で+1補正必要。そうだったのか!なので、あんな真っ暗な写真になってしまったんだな。25年も経過していたということは、本来なら+2.5で撮影しないといけないことになる。うん~納得!これはこれで、いい勉強になりました!

 今回は、その知識を活かし、3度目の試写です!御覧ください。

近景作例。コントラスト、解像度文句なし!
中景作例。発色もいい感じです。
遠景作例。問題なし!
歪曲は非常に少ないです。いいレンズです!

 いかがでしょうか?使用期限 2014年 9月 (ISO 800) のフィルムで、粒状感は目に付きますが、解像度もバッチリで、発色もよく、いい感じに写っています。この CHINONEX 38mm f2.8 レンズですが、優秀ですね。前所有者様が、写りは抜群とおっしゃっていらしたことを思い出しました。納得!

 やっとの事で、素人整備の結果を確認できました(フィルムカメラは、確認までに、かなりの時間が掛かるにも関わらず、無駄な回り道を幾度も繰り返したため)。整備は概ね成功かなぁ、試写結果もまずまず良好と言っても許されるでしょう。休日が4日も潰れてしまい、正直、採算は取れませんが、整備品を所有される次の所有者様に喜んでいただければ、本望です!末永く大切にされることを切望致します。

 それでは、店頭で販売を開始致します。買取価格に、整備費用、試写費用(もちろん1回分だけ)を加算させていただきますね。国内ではめったに流通しない希少なカメラであること、ちゃんと写ること、また写りがいいことを考えると、興味のあるかたは、買いでしょう。ヤフオク、メルカリで、過去5年の取引履歴を見ても整備済モデルは、出てきません。それどころか、動作未確認のジャンク扱いですら、年2回も取引されていません。本物のレアモノです!付属品は、専用レンズキャップと専用カメラケースとストラップです!それでは、ご検討をお願いいたします。

以上、カメラオタクによるフィルムカメラ整備レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

chinon 35F-MA INFRAFOCUS 整備記録記事はこちら

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CHINON 35F-MA /INFRAFOCUS整備記録 高知市 リサイクルショップ お宝市場満Q 葛島店

CHINON INFRAFOCUS 35F-MA 

 皆さん、こんにちは。本日は希少なフィルムコンパクトAFカメラの整備記録をお届けいたします。

 このモデル、チノン社製で、主に海外に輸出されていたようで、国内での中古の流通はほとんど無く、かの有名なアメリカのアーティスト、アンディ・ウォーホルが、愛用していたカメラいうことで、人気の高いカメラなのだそうです。不具合箇所のある機体でしたが、ネット情報では、なかなかいい写りとのことだったので、どんな写りをするのか、興味が湧き、整備することに。上手く整備できれば、実写テストまで実施した後、店頭で販売させていただく予定です。フィルムカメラファンの皆様、乞うご期待あれ!

 リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな内容にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、第1回「CHINON INFRAFOCUS 35F-MA 整備記録」編を始めます。よろしくお願いいたします。

 このカメラ、若い女性のお客様によって持ち込まれたのですが、その際、このカメラの希少性や不具合症状を事細かく、そして熱く説明していただきました。あたかも、私に、このカメラに興味を持たせようとされているかのごとく。ものすごくカメラに詳しいお客様でした。この展開、なんだか、以前にも同じようなことがあったけど。一瞬、整備するのやめようかな、なんて考えました。その理由は、過去記事⇒「AF AUTO CHINON 50mm F1.7 珍品レンズ入荷!」を最後まで、お読みいただけると、わかります。  

 実際に認めた不具合は、レンズ内部、ファインダー内に強いくもりが発生しており、ファインダー内の測距インジケーターが故障。なかなか、手強そうな症状です。それでは、分解を開始します。

外装には所々にツメがあるので、取り扱いは慎重に。
ネジは各所で長さが違うため、記録しながら整理しておきます 

 まずは、外装を外すことに。見えるネジと(1箇所隠しネジがあり、手間取りました)ラバーシートを慎重に外し、トップカバーと前面パネルを外すと、レンズとファインダーにアクセスできるようになりました。まずは、測距インジケーターの不具合原因を探ります。インジケーターに繋がるパーツを1つ1つたどると、途中でどこにも繋がっていないことが判明。近くにあるパーツとの絡みを探った結果、カムに直結したアームから外れていました。引っ掛け直すと、あっさり、復活。

写真中央の赤丸内がアームを引っ掛けた後

 続いてファインダー部分の観察。見えている配線を全て外さないと内部にはアクセスでできないようで、仕方なく外すも、複雑に走る配線とフレキに苦戦。フレキに少しでも亀裂が入ると、そこで、ゲームオーバー。安全パイを取って、ハンダ作業は最小限に留め、わずかに開いた隙間から、なんとかメンテしました。ヨゴレが多少残りましたが、視界には全く影響のないレベルには仕上がっています。

ファインダー部分真上にある配線とフレキを避けながら蓋を外し内部をクリーニング

 そして、作業はレンズの清掃に。レンズの後には、しぼり幕を兼ねたシャッター幕が閉じていて、正面から内を覗いても、くもりがあることには、気付かないことが多いのですが、強烈なライトで覗き込むと、それは見えます。実際、あれだけカメラに詳しい前所有者様でも、くもりに気づいていらっしゃいませんでした。多分。

レンズ周りはシンプルです。レンズはくもっているようには見えないのだけれど・・・・

 それでは、前方から攻めます。見える3本のネジを外すとレンズにアクセスできます。レンズ脇にある2本のネジはフランジバッグを調整するためのネジで、そこを触ると、ゲームオーバー。「触るな危険!」箇所です!

テッサーレンズ構成図

 構造はいたって簡単なもので、レンズは全部で4枚でした。3群4枚のテッサータイプのレンズで、3枚目と4枚目は貼り合わせてあり、80年代に発売されたコンパクトカメラの多くがこの、タイプのレンズを搭載しています。で、問題のくもりは、厄介なことに、この貼り合わせ部分に発生していたのです。そう、バルサム切れという現象です!(悪)

貼り合わせ部分のくもりは強力なライトのもとで、はっきりと確認できます。

 張り合わせの際、使用した接着剤(バルサム)の劣化に伴い、くもる現象です。一旦、この貼り合わせを剥がし、新しく接着しないといけないのですが、この貼り合わせを剥がすのが大変なのです!剥がす方法は、いろいろと開発されているのですが、今回は一般的な煮沸法を実践することに。お鍋に水とレンズを入れ、グツグツと煮込み、頃合いを見て、取り出し、指で分離するのです。何度か繰り返し、なんとか無事剥がれました。(ほっ)

右から1枚目、2枚目、スペーサー、3枚目と4枚目が張り合わせレンズで、分離しています

 分離清掃した2枚のレンズを、今度は張り合わせます。使用した接着剤は、ダイソーで入手した、レジン液です。透明度が高く光の屈折がいいため、多くの方が使用されています。最近のレジン液は、経年による黄変も少なく、扱いも簡単なため、作業にはうってつけのアイテムです。ですが、作業精度には注意が必要です。

作業後、くもりは除去できました。すっきりクリアです。

 やっぱり、今回も、やらかしてしまいました(汗)。

レンズエレメントの相関配置図

 この手のレンズは、組立工程での偏芯のリスクを低減するために、全てのレンズエレメントが接触するようになっている上に、きっちりとはまり込むように設計された金属筒に収まっています。つまり、貼り合わせ部分が少しでもずれていたら、レンズが収まらないのです。そう、また貼り合わせ部分の分離作業に逆戻りなのです(泣)。2回失敗し、3回目にやっと収まりました。収まりさえすれば、片ボケすることもなく、上手くいきます。しかし!3回目の作業時に、なんとあろうことか、貼り合わせレンズを床に落としてしまい、どっちが対物側かマウント側かが分からなくなってしまいました。こうなったら、一か八か。確率は50%です。とにかく所定の場所に、レンズをセットし、作業を完了しました。

 今回の整備作業における最大の難関作業をクリアし、残るは、モルトの交換のみ、ここまで、5時間(内、バルサム修理に半分の時間を費やしています!)の作業です。最終組立作業後、各部動作確認しましたが、問題無いようです。今回も、時間こそかかりましたが、整備は順調に進み、無事完了。次の休日にテスト撮影してみます。しかし!この先、とんでもない事態が待ち受けているのでした。どのようなパプニングかは、次回をお楽しみに!

CHINON INFRAFOCUS 35F-MA 試写結果記事はこちら

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Canon ⅡD レンジファインダーカメラ試写結果       高知市リサイクルショップ 満Q 葛島店

軍艦部にはフォクトレンダーの露出計が乗っています。

 お陰様で完売いたしました!

 皆さんこんにちは。本日は、整備が完了したレンジファインダーカメラによるフィルム実写テストの結果報告をさせていただきます。この後、このカメラは店頭にて販売を開始致します。価格は店頭でお確かめくださいませ。

 リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな記事にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、第2回「Canon ⅡDによるフィルム実写テスト結果」報告編を始めます。よろしくお願いいたします。

 その前に。このカメラは1952年(昭和27年)に製造されたもので、当時の価格はレンズ付きで 56,000円です。国家公務員の初任給が8,700円の時代なので、現在の価格に換算すると、140万円程度に相当します。ご年配の方から、カメラは財産だったと聞くことがあるけれど、全くその通りだと思います。

 このカメラは前所有者様に大切にされてきたカメラです。どのような経緯を辿ってきたのかなど、想像も付きませんが、時代時代で、大切な時間を写し撮ってきたに違いありません。そんなカメラに敬意を示し、丁寧に取り扱ってきました。それでは、テスト画像を見ていきましょう。

 使用したフィルムは、フジカラー100です。

 このフィルム、ネットショッピングで購入したのですが、なんと北海道斜里町、そう知床半島の付け根にある店舗から、はるばる南国高知まで送られて来たのもです。あんな遠方からと、びっくりしたので、ご紹介させて頂く次第です。

 お待たせいたしました。それでは、試写結果を。

とある神社境内内にある茶屋の番傘。 f1.8
奉納絵馬 f1.8
郵便バイク f5.6

 いかがでしょうか。一応、写ってはいます。(ファインダー画角が不正確な上、パララックスも影響し、構図にはズレがあります。使いこなしには、少々慣れが必要なようです)70年も前のクラシックカメラが、素人整備のもと、フィルムにちゃんと画像を結んでいます。フィルム自体の実力も関与しているとは言え、発色・解像感もよく、綺麗に写っていて、びっくりの結果です。

 残念なのは、左右にある、この光の玉。これは、フィルムが感光しているからなのです。シャッター幕(布幕に)は、よれこそありましたが、きれいに見えていたのに。経年劣化で、ごく小さな穴が開いているのです(涙)。見ようによっては表現方法と、捉えることができるかも!?解像度やカラーバランスが良いだけに残念です。

 試写結果より、カメラとして絶対に許容できない不具合箇所がありましたが、露出は適正であることから、露出計及び、カメラのシャッター速度の精度が確認できました。シャッター幕に関しては、修理しようかどうか迷いましたが、今回はこのまま、ジャンク品として販売することにしました。シャッター幕以外は、現在のところ問題はなさそうです。このまま使用されるもよし、修理に出されてもいいと思います。ご活用くださませ。

 以上、カメラオタクによるオールドカメラ整備(未完成ですが)レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

・canon ⅡD 整備記録記事はこちら

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Canon ⅡD レンジファインダーカメラ入荷       高知市リサイクルショップ 満Q 葛島店

 皆さんこんにちは。本日は、70年前に製造販売されたレンジファインダーカメラが入荷致しましたので、ご案内させていただきます。

 CANON ⅡD serenar 50mm f1.8

 雑貨品などのお見積もり依頼品の中に紛れていました!お客さまに確認させていただくと、お父様が生前大切にされてきカメラだそうですが、長年放置されていたとのことです。

 動作を一様に確認させていただくと、レンズもカメラにも、大きな不具合は確認できませんでした。見た目、かなりきれいです。フォクトレンダーの露出計が付属していたので、おそらく実用されていたのでしょう。

 このカメラ、発売開始は1952年で、日本製です。当時世界一の技術を持つドイツのカメラメーカー、ライカ社が製造していたバルナックのコピー品で、日本やアメリカ、ソビエトがさかんに製造していたようです。現在では、このような蛮行は許されないですよね。しかし、真面目な日本人は、ライカの持つ特許だけは、侵さず、ギリギリのコピーを作成しています。当時ライカが有する特許は、距離計の光路中央を垂直に走るビューファインダーが特許内容だったようで、各社この特許を回避してコピーを制作したそうです。Canon社は、距離計をそのままファインダーとして使用し、かつ、倍変装置を組み込みました。50mmレンズ用、100mmレンズ用、そして135mmレンズ用の3種類の倍率を選択することができるファインダーなのです。技術を学び、ノウハウを蓄積はすれど、パクリだけは行わないという気概さは、さすがCanon社です!こうして、ライカ社に追いつけ、追い越せで切磋琢磨し、現在、世界一のカメラメーカーとして、世界にその名を轟かしているのです!

 前置きが長くなりました。それでは、そろそろ本題に。リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな記事にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、よろしくお願いいたします。

 不具合箇所。ファインダーにカビが多数発生していて、ピント合わせがしにくい。低速シャッターが不安定であることなどがあげられます。ボディーはきれいで、大きなキズやあたりは見当たりません。なんとか整備できそうです。

 まずは、ファインダー清掃から。

ネジ類が全てマイナスで、非鉄パーツのため、磁石ドライバーが使えません。
赤線は光路 ビューファインダー直前に可変装置が配置されています

 ファインダー内のガラス部分には全てカビが発生しています。1つ1つ清掃していきます。残念ながら、半透膜のガラス部分にもカビがあったのですが、蒸着幕はそのまま放置しました。(非常にデリケートで、ここを触るとピント合わせができなくなります。)

丸い部分が可変ファインダーので、ここが回転し倍率が変わります。

丸い部分が可変装置なのですが、この内部にもカビがはびこっています。

 分解は簡単でしたが、内部清掃は困難を極めました。蒸着膜部分以外のカビは除去できました。カビが残った状態なのですが、ファインダーの見え具合は、非常にクリアです。使用に問題は感じません。

 続いて低速シャッターの修理ですが、この修理は普通、完全分解作業が必要で、スローガバナーの調整が必要です。かなり、面倒なので、簡易補修とします。シャッター速度ダイアルを持ち上げ、その軸下めがけ、わずかにエレクトロパーツクリーナーを噴射します。結果、大成功!今までの経験では、この作業で、殆どの場合、復活します。(これ秘密!)

 カメラがこのような状況だったにも関わらず、レンズは全く問題ありませんでした。バルサム切れもなく、カビもキズもほぼ皆無。相当大切にされてきたのでしょう。一様の整備が終了しました。実際にフィルムを通してみましょう。

 試写結果は次回、ご報告させていただきます。さて、上手くいくのでしょうか。乞うご期待!最後まで、お読み頂きまして誠にありがとうございます。満Qでは従業員一同、皆様のご来店をこころよりお待ち申し上げております。

canon ⅡD による試写結果記事はこちら

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写ルンです 改造レンズ試写編       高知市リサイクルショップ 満Q葛島店

 皆さんこんにちは。本日は、改造した「写ルンです」のレンズをEOS-Mでテスト撮影した結果をご報告致します。

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 まずは、解像度チェックチャートでのテストです。テスト機およびテスト条件は今まで同様です。撮影距離は最短の70cmで、Jpeg撮って出しデータです。

 周辺こそ滲んでいますが、中心部の解像度をご確認下さい。これが、使い捨てレンズが吐き出す画像なのかと、驚きを隠せません!

 わずかに片ぼけ、盛大な周辺減光、シアン被りを認めますが、大満足な結果です。意気揚々と、外でのテストを開始します。

 近景作例 近所の柴犬「マメタ」♂6歳。

 近景作例  糸巻き型の収差

中景作例 レンズ躯体のどこかが影響している?左側の影

 逆光作例 JR土讃線 鈍行土佐山田行き

 逆光作例 ゴースト、フレアは盛大(フィルターが影響?)

 遠景作例 十分な解像度。周辺減光が目立つ

遠景作例  条件によっては周辺減光が目立たない

 夜景作例 露出補正で露出コントロール

 低照度作例 日没後手持ち撮影 ISO12800 銀杏 

 いかがでしたか?2,000円未満で購入できるカメラのレンズでの作例でした。今回、いろいろなパターンでテストしてみましたが、どのシーンでも概ね良好な結果(使い捨てカメラのレンズという前提条件はありますが)だと判断しています。持ち歩いていて、実に楽しいレンズです。パンフォーカスで撮影された遠景画像なら、本来の写ルンですの描写を楽しめたのでしょうが、今回はピント調整ができるように改造したため、なんだか、かつて見た写ルンですの描写とは別物のような感覚です。ピントピークを1.5mに合わせ、ピント固定で撮影すれば、本来の写りを楽しめたのかな?今度試してみます。

 以上ジャンク品活用術第3弾でした。比較的簡単に作成できるレンズです。コニカのカメラもジャンク品として、安く流通していますし、写ルンですは現在でも、販売されています。興味を持たれた方は是非、作成チャレンジしてみて下さい。創る責任、使う責任。SDGsにつながる精神。本来捨てられるはずだったものを活用し、蘇らせることに誇りを感じます。不要な方から必要な方への橋渡しは、我々満Qの使命と考え、日々活動しています。

 以上、カメラオタクによる改造レンズ作成レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

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写ルンです 改造レンズ作成編       高知市リサイクルショップ 満Q葛島店

 皆さんこんにちは。本日は、使い捨てカメラ「写ルンです」のレンズを改造し、ミラーレスカメラ用レンズに蘇らせる「ジャンク品活用術第3弾」です。SDGsの観点から、本来なら捨てられる運命にあったガラクタを、再び現在のデジタル時代に蘇らせる資源再生プロジェクト(大げさな!)です。

 リサイクルショップ店員である、私ことカメラオタクによる、オタクのために配信するかなりオタッキーな記事にて、興味の有る方のみお付き合い下さい。それでは、第1回「写ルンです改造レンズ」作成編を始めます。よろしくお願いいたします。

 今回のレンズ躯体は、コニカ社製のC35レンジファインダーカメラを使用します。このカメラも、レンズ、ファインダーには大カビがあり、シャッターも切れないジャンク品です。このレンズのヘリコイドを利用し、本来固定ピントの写ルンですのレンズで、ピント合わせできるレンズへ仕立て上げる計画です。

まずは、カメラを分解し、レンズ部分をレンズボードごと取り外します。

 レンズを前玉から、順番に外していきます。難しいことはありません。構造はシンプルです。ここまでに必要な工具は、カニ目レンチと、精密ドライバーのプラスとマイナスのみ。

 見えている、レンズが付いたヘリコイドを一旦外し、4枚構成のガラスをすべて抜き取ります。俗に言う「玉抜き」作業です。実に恐ろしい作業名ですね(笑)。

 次に、レンズボードをレンズ躯体と同じような円形に加工します。(本来レンズボードは不要なのですが、ヘリコイドと一体をなしており、省くわけにはいかない構造でした)分厚い鉄製のレンズボードは、グラインダーを使い丸く、削っていきます。

 そこまで加工できれば、次に写ルンですのレンズ抜き取り作業に移ります。

 未使用品なのですが、フィルム使用期限が2018年だったので、ジャンク品扱いのカメラです。中のフィルムも取り出せば、使用可能なのですが、前所有者様がどのように保管されていたのかが、不明のため、今回は廃棄しました。

 簡単に分解できます。中に大きなストロボ用コンデンサが有るのですが、未使用品にて、感電はしません。安心して作業できます。見えているレンズ部分。前側の、フード部分と絞り部分にレンズが挟まれている構造で、その3つともをニッパーとヤスリを使い分離、きれいに整形します。整形後の写真を取り忘れています。(汗)3つを接着剤で固定しレンズユニットを用意ています。

 ちなみに、写ルンですに搭載されているレンズは、単玉プラスチック非球面レンズで、焦点距離は32mm、絞りは固定でF10だそうです。ピントピークは1.5mあたりに設定されており、被写界深度を利用した、ピント・しぼり固定カメラです。

 学生時代、修学旅行に、発売され間もないパノラマタイプの写ルンですを持参した記憶が蘇りました。本来のパノラマ写真ではなく、通常の画角の上下を遮光し、通常サイズの2倍の大きさの印画紙にプリントした後に、上下部分をカットされ、渡されます。当時は、原理も理解せず、横長の写真を見てパノラマ写真だって、喜んでいました。友達にもずいぶん自慢したな。

 さて、肝心な部分を説明していきます。ですが、かなり集中して作業しているので、いつものように、撮影を忘れてしまいました。(爆)

 言葉だけで、説明すると、整形した写ルンですのレンズ部分(フードとレンズとしぼり部分)をC35のヘリコイドに後ろ側から、はめ込みます。サイズが丁度のため、パチンとしっかりと嵌ります。この時、傾けること無く、まっすぐにはめることです。でないと、片ボケの原因になります。

 で、完成!フランジバッグの調整は、ヘリコイド部分で簡単にできます(割愛します)。かなり、へっこんだところに、レンズが見えます。

 上から見たところ。ピントヘリコイドを回せば、ピント調整が可能になっています。ちなみに、ピント範囲は、0.7m~∞です。なお、マウント部分はボディーキャップです。ボディーとレンズ躯体の間にはレンズボードが有るのですが、うまい具合に、ジャンク部品BOXからスペーサーを見つけ出し、隠しています。

 こんな感じです。ここまで、作業時間は約3時間。なんの問題もなく、スムーズに進みました。仕上がりには、満足しています。次回はこのレンズによるテスト撮影記事です。驚くほどの写り見せるのですが、さて、どのような結果だったのか。次回をお楽しみに!

第2回 写ルンです 改造レンズ作成 編 はこちら

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COSINA AF ZOOM 28-70mm 黎明期AFレンズ入荷高知市 リサイクルショップ      お宝市場 満Q 葛島店

 皆さんこんにちは。本日はAF黎明期の遺産レンズが入荷しましたので、ご案内させていただきます。

 オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみお付き合いください。それでは、よろしくお願いいたします。

コシナ AF ZOOM LENS 28-70mm F3.5-4.8 FDマウント

 大きな目玉が1個だけ付いた、この非対称形状には、なぜか魅力を感じるオタクなのです(笑)。世界初のAFレンズ登場から6年後の1987年に発売された標準域のAFズームレンズです。すでに、コシナからは、同シリーズの75-200mmが発売されており、Wズームのお相手的な位置づけです。レンズメーカーだけあって、各マウントが用意されていました。特徴として、AFモードに「シングルAF」と「コンティニュアスAF」が用意されていることです。(今では当たり前の機能ですね)そして、MFにはなりますが、70mm域で簡易マクロ撮影ができることです。(50cmくらいまで、近づけます)

 状態は、電池室液漏れ(通電確認できず)、レンズ前玉に派手なカビの発生を認めます。ジャンク品としての、お買取になりました。ありがとうございます。このレンズ、決して多くはありませんが、市場でもちょくちょく見かけるレンズです。ただし、電池室の液漏れ個体が多く、不動のレンズが多いことも事実です。

 まずは、電池室にはびこっている青いサビをルーターできれいに削り落とし、動作確認。幸いレンズは生きていました。一通りの動作確認の結果、ちゃんと仕事をすることを確認しました。

 次に、カビ取り作業を開始します。まずは、見えているカニ目にレンチを入れて外します。

 レンズサッカーで前玉を持ち上げると、次々とレンズが外れます。結局、前玉は4枚構成でした。

 写真では見えにくいですが、前玉が無くなった躯体には、絞りユニットと後ろ玉が見えています。特段問題が無かったので、分解はここまで。クリーナーできれいにした後、再度組戻し、最後にフランジバッグ調整に入ります。(あまりにも作業がスムーズすぎて拍子抜け、途中の撮影を忘れてしまいました)名盤は接着剤で固定されていますが、それを外すと3本のネジが見えます。そこが、フランジバッグを調整するヘリコイドです。調整方法はいつもの通り。あーやって、こうすれば調整できます。

 清掃後、調整したレンズです。きれいになりました。ここまで、作業時間わずか30分程度。なにか、物足りなさを感じるのは、最近ヘビー級の分解修理が続いたからだろな。きっと。

 そして、お決まりのテスト撮影。Jpeg撮って出し(一部トリあり)テスト機はEOS 5DM2(マウントアダプター使用)

 天然記念物サギソウ。徳島県黒沢湿原 マクロ域作例。F3.5

 中景作例。山小屋 F5.6 トトロの世界みたい。

 遠景作例 F5.6 徳島県吉野川に架かる鉄橋 JR土讃線

 遠景作例 F5.6  高知県 物部渓谷 素直な発色です。

 過去にも同じレンズを所有していましたが、ありふれた焦点域なのと、マウントアダプターが必要なことから、活躍の場がなく、手放しました。こうして、改めて見てみると、現在でもなんの遜色もなく使用できます。ボディーとのバランスも良くスナップ撮影には面白いレンズだと再認識しました。

 以上、カメラオタクによるオールドレンズ修理レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。レンズ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

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AF AUTO CHINON 50mm F1.7 珍品レンズ入荷!     第3回「テスト撮影  編」    高知市リサイクルショップ      お宝市場 満Q 葛島店

 皆さんこんにちは。第2回「AFモーター修理」編に引き続き、チノン珍品レンズ修理記事、第3回「テスト撮影」編をお届けいたします。

AF AUTO CHINON 50mm F1.7  PKマウント

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 一旦は欧州方面に輸出されるも、再び日本へもどってきたこのレンズ。いつからか、モーターが故障し、故に所有者が度々変わるという数奇な運命。こんな不運な運命に思いを馳せながら、テスト撮影に望んできました。それでは、早速テスト結果を見ていきましょう。(テスト機はEOS 5D2です。レンズにマウントアダプターを装着して、さらに1.5倍のテレコンをかましての撮影になります。何かをかまさないと、おでこにが邪魔してマウントできないのです。Jpeg撮って出し)

 最初にボケ味の確認。開放撮影。極々普通。

 接写作例。開放撮影。(チューブ使用、MFピント。撮影距離50cm)解像度、色にじみなどは確認できず、満足です。

 近景作例。開放撮影。逆光ではフレアが発生します。

 中景作例。開放撮影。神社での夏祭り。

 遠景作例。F4.0 高知県いの町「にこ淵」仁淀ブルー

遠景作例。F5.6 福山通運トラックターミナル

 今回の修理にもいろいろと、ハプニングが有りましたが、紆余曲折を経て、見事復活したこのレンズは今、私の手元にあります。製造後40年も経過しますが、実写結果は極めてナチュラルな描写傾向で、良く写るレンズです。AF機構が近赤外線を利用した三角測量方式なのですが、これが、想像以上にキビキビとしていて、心地良かったです(同じ三角測量方式のAF RIKENON50mm はゾーンAFでしたが、このレンズは無段階AFです)。そして、真っ暗な場所やコントラストの低い無地の壁でのAFがズバリと合焦するところには、驚きを感じました。逆に、ガラス越しの被写体にはピントが合いません。ガラスに合焦してしまいます。赤外線を利用したAFだからですね。現在のAF性能と大きく違う点です!欠点は、中景に位置する(概ね10m以上)被写体へのAF精度が極端に低下することです。赤外線が届きにくいからかな?受光センサーが赤外線の反射を検出しなければ、レンズに「無限に合わせろ」と指示しているような感じを受けます。しかし、F値を5.6以上にしていればピント精度に大きな問題は感じません。

 そんなこんなで、一様に問題点がないことを確認できましたので、店舗で販売することにします。と、申しますか、実はすでに売れています。そう、やっぱり!前所有者様が買い戻しされました。第2回記事をアップしてからは、毎日店舗においでになり、販売開始日を確認されるのです。はじめから、私が修理するだろうと見込んでいたらしく、それを買い戻す計画だったと。もし、失敗していたら、どうされるおつもりだったのかとお尋ねすると、その時はそのときよ!とのことでした。なんともはや。もう、修理して販売するのはやめようと、思う次第です。だって、失敗する確率のほうがはるかに高いのが現実ですから。今回は、たまたま2回連続で上手く行きましたが、こんなこと稀です。今後、この所有者のような行為は一切、ご遠慮下さいね。責任取れませんから。(笑)

 以上、カメラオタクによる希少なオールドレンズ修理レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。改造・分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。

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AF AUTO CHINON 50mm F1.7 珍品レンズ入荷!     第2回「AF モーター 修理 編」    高知市リサイクルショップ      お宝市場 満Q 葛島店

 皆さんこんにちは。第1回「故障原因追求」編に引き続き、チノン珍品レンズ修理記事、第2回「AFモーター修理」編をお届けいたします。

AF AUTO CHINON 50mm F1.7  PKマウント

(貴重なチノン製AFズームレンズも入荷しました!2023.11.06)

 オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみお付き合いください。それでは、よろしくお願いいたします。

 モーターは動作しているのに、レンズが動かない。過去の症例を参考にモーター部を確認してみたけど、結局故障原因不明。次に考えたのが、距離リングにある歯車の摩擦が増大し距離リングが動かなくなっているのでは?とあたりを付け、さらなる分解を進めていきます。

 この距離リングにある金色の歯車が、AFモーターの動力を受け距離リングを動かします。しかし、MF時は直接この距離リングを回転させる構造のレンズです。現在のAFレンズには、AF/MFスイッチが付いており、MF時はAFモーターからギアが外れ、モーターに負荷が掛からない構造になっています。しかし、このレンズには、切り替えスイッチがありません。どうなっているのか。それは、距離リングに回転トルクが外部から、掛かったら、金色の歯車が距離リングとは連動せずに、動くのです。言葉では伝えにくいのですが、MFでピントを合わせようとすると、AFモーターのギアを傷めないように、金色の歯車が、AFモーターのギアに噛み合ったまま、その位置から動かないのです。つまり、距離リングだけが、動くという原理なのです。なので、その金色のギアのトルクが上がって、モーターが動かないのでは?と考えたのです。分解して、グリスを入れ替えます。より、滑らかな動きになりました。ですが、結果に変化なし。やっぱりな。

 次は、レンズヘリコイドのグリスの劣化により摩擦力が増大しモーターでは動かせなくなっているのでは?と考え、レンズを分解していきます。写真で見えているのが、しぼりユニットなのですが、この構造、富岡光学製レンズではないようです。(詳しくは、この記事を参照してください)

 AFユニットとレンズを分離します。残念ながら、分離のためには、ネジロックされた調整モジュール(近赤外線照射ユニット)の取外しが必要で、案の定、後に、調整に手こずることになりました。

 マウント部も分解し、ヘリコイドを露出させていきます。

 顕になったヘリコイド部分。金属くずが混ざり、真っ黒くなった粘土状のグリスを、きれいに入れ替えます。

 この後、さらなる分解を経て、完全分解に至ります。再度組み立て、ヘリコイドのトルクを確認。明らかに、分解前よりスムーズに回転しています。もしかして、これで上手くいくのでは?期待は膨らみます!いざ動作確認!・・・・・・・やっぱ動かんなぁ!はぁ~。これもダメか。ヘリコイドの組み上げにてごずったため、ここまで実に6時間以上経過。どっと疲れが出たので、この日の作業はこれで、終了。この時点で、すでに諦めモードのオタクなのです。

 この間、数日おきに元所有者様が、ご来店され、修理の進捗の確認をされます。なんだか、プレッシャーを感じます。(笑)でもなんで?このレンズを修理していることを知っていたのだろう。

 ずいぶん、あれから時間が経過しました。ジャンク品として、販売することにしていたのですが、どうしても諦めがつかず最後にもう1度だけ、と心に決め、モーター部分を取外してみました。

 詳しく観察。ボディー中央に巻かれたアルミテープが気になり、剥がしてみると。なんと、モーターが2つに分かれた!そして中身があらわに!

 なんと!ギアードモーターじゃないですか!円筒形の筒の中にギアが隠れているとは!そんなの聞いてないよぉ!そこで、ピン!ときました。もしかして、回転トルクが低下していないか?通電して確認します。やはり!トルクが全くありません。回転コソしていますが、指で押さえるだけで、回転は止まってしまいます。(ギアに割れがあると、トルクがかかったとき、軸上でギアが空回りし、仕事をしないのです。)原因を確信したオタクはモーターを分解します。上から1つ1つ、順番と向きを記録しながら、ギアを外していき、損傷の有無を確認していきます。お宝の在り処を確信したトレジャーハンターのように、ドキドキしながら。(笑)

 有りました。ありました。やはり、当初の見立て通り、樹脂製ギアの損傷が原因でした。でかした、オタク!

 (2つ上の)写真では見えていない、一番奥(底)にあった直径2mmほどのポリアミド樹脂製のギアに割れが有りました。歯数は10。原因の特定ができ安堵しました。あとは同じものを、ジャンクBOXの部品に求めるだけです。

 このサイズのギアは通常、AFモーター内では見ないサイズ(小さすぎる)です。100本分は下らないであろう、いろいろなレンズの分解後残骸パーツから見つけました。軸経、ギア径、歯数全て同じものです。タムロン製レンズのしぼりユニット用モーター(上の写真にある、金色のギアがそれで、しぼり幕を開閉するモーターのギアです。)から金属製の、そのギアを取り外し移植、なんなく修理完了。トルクが回復したモーターの回転は指では止められません。歓喜の瞬間です。ヨッシャー!

 最初に、トルクの低下を見つけていたならば・・・・ギアードモーターであることに気づいていたならば・・・・簡単に修理できていたものを。トホホ。素人修理なんて、こんなもんです。

 分解の際に、一旦取り外すと、再度調整が必要なモジュール、近赤外線照射ユニットの調整作業に、時間を要しました。調整しては、組み立て動作精度確認。また分解をひたすら、繰り返します。調整用機器が無い分、分解と調整、組み立てを繰り返すしか方法がありません。ですが、気分は晴れ晴れしています。なぜなら、この作業、回数さえこなせば、必ず調整できるから。原因不明の修理作業とは、格が違いすぎます。

 なんとか修理が完了いたしました。AFも動作しています。しぼり動作等、正常に作動しています。(このAF速度や作動音が元通りなのかどうかの判断はできません。最初から故障していたので)。

 ネット上にも、このレンズの内部構造や分解に関する記事が全くない中、故障の原因も分からないのに、分解し、紆余曲折を経たとは言え、最終的に実用品にまで、仕立て上げることができたドタバタ・ストーリーをお楽しみいただけましたでしょうか。

 完成したレンズによる試写結果が、次回最終報告になります。いや~完了まで、今回も長かったな。ここまで、読み進めて頂きまして誠にありがとうございました。次回の報告と同時に、店舗で、このレンズの販売を開始致します。価格は店頭での発表となりますが、販売まで、今しばらくお待ちくださいませ。

 なんとなく、元所有者様が買い戻されるのではないかな?なんて感じております。テスト撮影作業が残っているため、元所有者様へは、完成の報告を遅らせようっと。すぐに売れ!って言われたら困るから。(笑)だめですよ。このブログを見たって言われても、テストが終わるまでは、絶対だめです!

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AF AUTO CHINON 50mm F1.7 珍品レンズ入荷!     第1回「故障原因追求編」     高知市リサイクルショップ      お宝市場 満Q 葛島店      

 皆さんこんにちは。AF RIKENON 50mm f2 に続き、黎明期(80年代前期)のAFレンズが入荷しました。立て続けに、希少なレンズが入荷するとは、なんと幸せなことよ。

 AF AUTO CHINON 50mm f1.7 PKマウント

 ジャンク品として入荷した、このレンズ。非常に数の少ない希少なレンズのようでしたので、実用品として復活させることに。復活までの、執念の体当たり作業工程をを複数回に分けて、レポート致します。オタクによる、オタクのためのブログにて、興味のあるかたのみ、お付き合いください。それでは、第1回「故障原因追求」編を開始します。よろしくお願いいたします。

 私ことカメラオタクは、このレンズを初めて見ました。大きな目玉が2個くっついた、かなりインパクトのある出で立ち。左右非対称のレンズって私、大好きです。1982年発売開始のチノン製のAFレンズで、マウントさえ同じなら、MFカメラをAFカメラにしてしまう、レンズ完結式AFレンズで、測距機能、モーター、駆動用電源など全てをレンズ本体に搭載しています。AF開始ボタン、合焦音ON/OFFスイッチ以外なにもついていません。近赤外線を照射し三角測量方式でオートフォーカスを実現するレンズのようです。当時「チノン」というメーカーは有名ではなく、主に海外に向け、8mmカメラを輸出していたらしいです。このレンズも、そもそも生産数が少ない上、海外にも輸出されていたそうで、現在、国内の中古市場でもめったに、お目にかかれないレア中のレアなレンズなんだと、説明していただきました。確かに、レンズ下部に貼ってある金色のシール「PASSED」は財団法人日本写真機検査協会のもので、海外に輸出される製品に、品質を保証するために検査を受けた証として添付されていたもののようです。つまり、このレンズは、海外からの出戻りレンズのようなのです。元所有者様によると、レンズ内部はきれいなのだけど、AF機能が故障(モーターは動いているけど、レンズが動かない)しているとのこと。オークションサイトでジャンク品として落札されたが使い物にならず、あえなく、売却となったそうです。ホントにお売り頂いて構わないのかと、何度も聞き直し、お買取させて頂きました。ありがとうございます!そこまで、レアなレンズなら、なんとかできないか?って俄然、やる気が湧いてくるカメラオタクなのでした。(今回はCanon機での使用は想定しておらず、とにかく実用品レベルまでの復活を優先させることに。)

 実際に確認します。単4電池を3本装てんし、テスト機にマウントしAF開始ボタンを押すと、モーター音が確かにします。しかし、AFは作動しません。このような事例は、殆どの場合、ギアードモーター内の樹脂ギアの割れか、プーリーベルトの断裂が原因です。(過去の修理経験より)故障原因に確信をもっていたので、すでに勝利を手にしたかのように、分解作業を開始します。気分は実に、晴れやかです!

 躯体がプラスチック製なので、慎重に分解していきます。

 場所により、ビスのピッチや長さが異なっているため、分解しながら記録していきます。テンポよく、順調です!

 写真右側にある縦に長いものが、今回のキモとなるAFモーターで、その横(目玉の前)にあるパーツが、赤外線照射モジュールです。一番左側の青いパーツはコンデンサで、素手で触ると感電します。左側の目玉の前に、赤外線受信モジュールが配されています。この写真でも、何箇所かに、赤いネジロックが施されているパーツがありますが、基盤の下にも、多数調整された箇所が存在します。分解の際、これらのパーツを触らないといけなくなった場合、元通りに調整するのに、相当の苦労が待ち受けます。できることなら、触りたくないところです。

 そして、問題のモーターを取外します。過去分解したレンズのAFモーターは、殆どがギアードモーター(Canon製や新しいレンズはUSMやSTMモーターが搭載されていますが)なのだけれど、このモーターは、そのようには見えませんでした。(これが、大きな判断ミスとなり、最後まで苦しむことになるのです)さっきまで、テンポ良くきていたのに。なんだか、嫌な予感。

 上の写真のように、通常は、このようなギアードモーターが、レンズ内に配されるのですが。

 これが(上の写真)、取外したモーター。ギアードモーターのようには見えません。全然見た目が違うでしょう?(レンズに使用できるモーターの特性を考えれば、ギアードモーターでない、はずがないことは、冷静な時だったら、簡単に気づくことができるのに。)

 リード線に電流を流すと、モーターはちゃんと回転しました。(ここで、モーターのトルクが著しく低下していることに気づかなかったことが、2つ目の大きなミスとなるのです。ギアードモーターであることに気づくチャンスを2回も見逃したのです。調子が悪いときってこんなもんです。って、さっきまで絶好調だったくせに)

 故障の原因が、見当していたものとは、違っていることに驚愕し、うろたえるオタクなのでした。困り果て、この日は、これで作業終了。その後も、修理方針(どこを、どうすればいいのか全く分からず)が立たず、長く放置の時間が続くのでした。

 それでも、後日なんとか、気を取り直し、作業再開です。どんどん分解を進め、最終的には完全分解してしまいました。しかし、原因の特定には至らず、敗北感を味わいながら、元通り組み立てることに。(ジャンク品として、販売することを決意してのことです。)だけど、最後の最後に、その原因に気づくことになるのです。自身の執念深さには、我ながら恐ろしくなります!(笑)。さて、どのような原因だったのか、次回をお楽しみに!第2回は、復活に向けた修理の記録をお届けいたします。

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