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Canon EOS-1n D2000 Kodak DCS 560 2個イチ 完結編

皆さんこんにちは。「テスト撮影編」に続き、最終回 「Canon EOS-1n D2000 2個イチ 完結編」 をお届けいたします。果たして、完全な DCS 560 ( EOS D6000 ) は復活するのか。オタクによるオタクのためのカメラブログにて、興味をお持ちの方のみ、お付き合いください。それでは、始めます。よろしくお願いいたします。※8時間にも及ぶ改造作業の経過レポートにて、それ相応の長文です。ぜひ最後まで、お付き合いください。

・Kodak DCS 560 (Canon EOS-1n D6000)

不完全な2個イチ改造(過去記事を参照ください)から、随分と時間が経過してしまいました。D2000(APS-C) の躯体に D6000(APS-H) のデジタルセンサーユニットを組み込み、稼働可能状態にまで仕上げたのは良いのだけれど、ファインダーの見える範囲は、APS-C のまま。撮影画像は、実際ファインダーで見えている範囲より、広く写ります。ファインダープリズムユニットごと、入れ替えないと、問題は解決しないことは、すでに判明している事実。

しかし、複雑で緻密なボディーを、分解し修理などできるのか?ファインダーに難はあるものの、現在、使用できる状態なのに、リスクを取って、賭ける価値は本当にあるのか?この問題が、障害となり、不完全ボディーのまま、時間だけが経ってしまいました。

そんな折、EOS-1n D6000 の詳細なパーツ図を入手しました。全部で、13枚にも及ぶ詳細なサービスマン・マニュアルです。目指すファインダープリズムユニットの取り出しまでの手順が、これでバッチリわかりました。もう、迷いはありません!やっちゃえオタク!

改造当日。作業台を片付け、必要であろう工具類を整え、ことに臨みます。さながら、手術に臨む執刀医のような心境でしょうか。作業台の上には、もう動かないEOS D6000 が横たわっています。このカメラから、ファインダープリズムを取り出し、EOS D2000 のそれと、入れ替えるのです。

まずは、デジタルユニットの取り外しまでを、行います。ここまでの作業は、2度目なので、問題なく進み、いよいよ、本番。

パーツ図を確認しながら、慎重に分解を進め、本丸へ迫っていきます。上の写真は、ブースター部分を、取り外したところです。中身は以外にスカスカで、フィルムが入るスペースや、フィルムを巻き上げるためのモーターがあった場所は、空洞のままです。そして、デジタルユニットとカメラ本体をつなぐ線は、フレキではなく、コードなのです。

続いて、前面カバーを取り外し、見えるコードのハンダを外していきます。

トップカバーにある、ストロボユニットから、多くの配線コードが出ており、本体とつながっていますが、接続箇所を記録しながら、全て外していきます。

トップカバーが外れ、本丸が、わずかに、フレキの下に見えるところまで到達しました。ですが、複雑なフレキ配線に、気が滅入るオタクなのです。作業中、1本でもフレキが切れたら、全てがおじゃんとなります。「まだ、続けるのか?」もう一人の自分が、頻繁につぶやくのです。

小休止後、気合を入れ直し、続行です。上の写真はファインダーユニットを取り外したところです。取り外したファインダーユニットの上部に、小さな小窓がありますが、ここには、露出を決定するための測光センサーがつながっています。外す前に、位置をケガク必要があります。

フレキのハンダを、上から順番に取り外していきます。実に、数十か所に及ぶ、ハンダ作業になりました。

ファインダープリズムの上を這うフレキがなくなり、ついに、本丸の全景を確認。もう少しです。

プリズムを固定しているねじを確認。ワッシャーを落とさないよう注意しながら、取り外し、ついに、本丸を落としました!目的のファインダープリズムユニットの取り出しに成功しました!※この後、記すのですが、ユニットのねじを緩める前に、現在のユニットの位置をケガク必要があります。

ここまで、実に3時間の作業。一発勝負の細かい作業の連続ゆえ、アドレナリンが、充満していて疲れを感じません。腕に感覚が残っている間に、もう1台の作業を続けます。

2台とも、無事ファインダープリズムユニットを取り出しました。写真右が、EOS D6000 のユニットです。(センサーフォーマットに合わせ、写る範囲以外は、マスクしてあるのです。従って2つは全く異なる部品であることが分かります。ユニットごと交換しないと、使えない理由です。でも、APS-Cのファインダーって、ファインダー全体の61%がマスクされているんです。)

作業は、すでに5時間半に及んでいますが、このあと、ユニットの入れ替え、細かいハンダ作業、再組立てと、緊張した時間は、まだ続きます。

疲れてはいるけれど、ここでついでの修理を挟みました。日付用バックアップ電池の交換です。現在のデジカメのそれは、ボタン電池交換式になっていますが、当時のデジカメは、基盤にボタン型2次電池が内蔵されており、交換不能仕様なのです。分解の際、その電池があらわになっているので、ついでに交換しておくことに。日付データは、ちゃんと記憶されるようになったのですが、残念なことに、データは、2020年までしか入っていませんでした!

作業開始から、約8時間、全ての作業が終了、通電確認となります。配線接続を、どこかで1か所でも間違えていたら・・・・恐るおそるスイッチ・・・・・・・・・・・・・・・・・オン!

結果は、OK!問題なく、起動しました。(喜)撮影・記録・再生問題なし!ボタン類、液晶の表示具合など、全て確認しましたが、不具合は確認できませんでした。雄たけびを上げたいくらいの、感動だったのですが、気力体力ともに疲れ果て、それどころではありませんでした。

極度の緊張とストレスから解放されたオタクは、その夜、くたくたの体を湯舟に浮かべたのですが、つい居眠りをしてしまい溺れそうになった事実は内緒なのです。その後、晩酌となり、ことを祝うかのように、大いにお酒にも溺れたオタクなのでした。(笑)おしまい。

正直、私には、無謀とも言える分解修理作業でしたが、いかがでしたでしょうか?運よく、完全な EOS D6000 を復活させることができましたが、作業は極めてハイリスクです!トラップともいえるような箇所で部品を破損させそうにもなりましたし、調整されているパーツ箇所も見受けられました。不用意にそれらに触れると、もとに戻せなくなります。今回の作業は、正直お勧めいたしません。腕に覚えのある方ならともかく、不慣れな方は絶対に真似しない方がいいです。

編集後記

※1) ISO感度設定において、不具合があることが判明しました。D2000は、ISO設定範囲が200~1600であるのに対し、DCS 560は、80~200なのです。従って、設定可能なISO感度は200のみです。センサー特性だけはどうしようもないので、諦めることに。

※2) あとで気づいたのですが、プリズムユニットは、位置調整が必要な部品です。取り外す際は、現在の位置に目印をケガく必要があります。

プリズムユニットは、4本のねじで固定されているのですが、そのねじを通す穴がねじより大きく、締める前に位置を調整できるようになっているのです。位置が狂うと、ファインダーで見えている画像と、撮影画像の写る角度に誤差が生じ、正確な構図決定ができなくなります。さらに、そのねじにあてがうワッシャーの厚みにも、7種類あり、高さ?も調整されているのです。プリズムユニットは、非常に繊細な調整パーツなのでした。最後に、フォーカシングスクリーンは、付けたまま作業をする必要があります。スクリーンはキズつきますが、その下にあるパーツは取り換えができない大切なパーツなので、スクリーンを犠牲に作業を行う必要があります。

※3) 冒頭 DCS 560 にマウントされているレンズですが、D6000が発売された2年後の1990年発売の シグマ UC 28-70mm f3.5-4.5 で、いわゆるデジタル非対応レンズです。ちなみに、ライカ社へOEM供給されていたレンズでして、シグマと全く同じ光学系でありながら、ライカバリオエルマーR 28-70mm f3.5-4.5 として当時定価17万円ほどで発売されていました。シグマ製のそのレンズは定価3.5万円で、その差、4.5倍以上なのに、写りは全く同じという事実。ネームバリューとは、こういうことなのか。なんとも理解し難い世界である。そのレンズとこのカメラでの作例は、第4回「テスト撮影編」の記事最後に掲載しました。ご覧ください。

※4) もう一つ。 DCS 560 に付けられているストラップ。Canon純正(公式タグが付いています)の本革ストラップです。オタクは、ストラップフェチで、今まで発売されてきたCanon純正ストラップは全て所有しているはずなのですが、初めてお目にするものなのです。もしかして、非売品だったのでしょうか。某オークションサイトの過去の売買記録を10年遡っても、見当たらないのです。非常にレアなストラップのようです。傷みは有るものの、まだまだ実用できそうで、何より、革の育ち具合がエモいのです。写真では確認しづらいのですが、使い込まれた上質な質感で、色具合など高級感すら醸し出しています!希少なカメラにレアなストラップ。よく似合っています。

時間と労力は掛かりましたが、EOS D2000 の犠牲のもと完璧に作動する希少なカメラ Kodak DCS 560 が復活しました。もちろん、犠牲になった D2000 も外装を元通り組み立て、オブジェ・インテリアとして、次の所有者様を探すことになります。以上、カメラオタクによる Canon EOS-1n D2000  2個イチ作業レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

・第1回 Canon EOS-1n D2000 入荷編 はこちら

・第2回 Canon EOS-1n D2000 修理編 はこちら

・第3回 Canon EOS-1n D2000 改造編 はこちら

・第4回 Canon EOS-1n D2000 テスト撮影編 はこちら

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過去に、オタクがお届けしたカメラ関連の記事になります。お時間のある時に、お付き合いいただけたら、幸いです!

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Canon EOS-1n D2000 Kodak DCS 560 テスト撮影編

皆さんこんにちは。「Canon EOS-1n D2000 2個イチ改造編」に続き、第4回 「テスト撮影編」 をお届けいたします。オタクによるオタクのためのカメラブログにて、興味をお持ちのかたのみ、お付き合いください。それでは、始めます。よろしくお願いいたします。

Kodak DCS 560 (Canon EOS-1n D6000)

躯体は EOS D2000、中身は EOS D6000 という魔改造が完了し、一部に難は有るけれど、なんとか撮影可能なカメラにまで、復活させることに成功し、本日、テスト撮影に臨んできました。ロケは JR 土佐高知駅周辺です。画像は、フォトショップで現像しています。それでは、ご覧ください。

JR土佐高知駅入口 街は、あんぱんまんで溢れています。

高知県産杉で作られたアーチ状の大屋根

駅に入るお店のディスプレー

駅前

駅前通りにある高知橋からの眺望 フェニックスの木が南国をイメージさせます。

下から。

600万画素。これだけのデータがあれば、スナップ撮影には十分です。パソコンでの鑑賞にも耐えており、何の問題も感じません。実際よりは狭い範囲しか見えないファインダーに、戸惑いはしましたが、小気味よいシャッター音に、そんなこと、どうでもよくなって。楽しい時間が流れましたよ。

某オークションサイトの過去の落札データを見ていると、DCS560 または EOS D6000 は、ジャンク品(あるいは、動作未確認品)ばかりで、稼働品を謳う出品はありませんでした。当時販売価格が、相当に高額だったため、流通台数自体少ない上に、年月経過に伴い、修理受付終了措置で、まともに動作する個体が少なくなっているのでしょう。今回のような簡単な改造で、希少なカメラが1台でも復活するのなら、我々のエコ活動にも、一定の価値はあるのかな。でも・・・・・・こんなに都合よく2個イチできる、ジャンクボディーが手に入ることって、ないよなぁ。

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☆編集後記(テスト撮影に使用したレンズに関すること)

・シグマ UC 28-70mm f3.5-4.5 での作例 

・このレンズ、シグマ社から、ライカ社にOEM供給されていたことで有名ですが、ズーム全域で、歪曲収差のひどさが、指摘されています。でも、解像度は優れていると思います。事実は皆さまご自身で、ご確認下さい。状態さえ気にしなければ、数百円で販売されていたりします。(気が向けば、後日、このレンズの整備記録も公開しますね。)また、EOSでの使用なら、デジタル非対応レンズであることに留意する必要があります。対処方法としては、しぼり開放で使用するか、EOS D30以前のデジカメで使用する必要があります。※EOS D60 や EOS 10D でも使えるとの情報もありますが、オタクは未確認です。

我が高知城。(逆光での撮影だったのですが、現像をミスっています)

お城の石垣

高知城 追手門

高知港近く

新来島高知重工のドッグ

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Canon EOS-1n D2000 Kodak DCS 560 改造編

【当ブログ記事は、貴重なデジカメの2個イチ作業記録です!】

皆さんこんにちは。「Canon EOS-1n D2000 修理編」に続き、第3回 「2個イチ改造編」 をお届けいたします。オタクによるオタクのためのカメラブログにて、興味をお持ちのかたのみ、お付き合いください。それでは、始めます。よろしくお願いいたします。

じつは、あれから相当な時間が経過しています。修理不能が確定した2台のカメラは、店頭に陳列することなく、倉庫で長期保管状態。最近、某オークションで、完全ジャンクの同カメラが高値で取引されている事実を目の当たりにし、再び、執念の思いに明かりが灯ります。

1台は、デジタル部分(センサーユニット)の故障。カメラ部分は正常。もう1台は、デジタルユニットは正常、カメラ部分が故障。ん?もしかして、2個イチ ができる?カメラ本体から、デジタルユニットだけ、取り外しができれば、チャンスはあるかも。再度、分解を開始します。

はい。ご覧の通り。あっさりと、デジタルユニットの分離に成功しました。はやっ!(そもそもフィルムカメラとして活躍していた機体に、後からデジタルユニットを取り付けたのだから、分離は簡単なはずですよね)もっと、早く気づけば良かった。

取り外したCCDセンサーユニット。上側がDCS 560(600万画素)、下側がD2000(200万画素)です。大きさが異なるのがわかります。

DCS 560 のデジタルユニットを D2000 側のボディーに組み込みます。いとも簡単に、EOS-1n DCS560(D6000) が、復活しました!撮影・記録・再生問題なく動作しています。

しかし!ここで、またもや問題が・・・・!そうは簡単に終わらせてくれませんでした(涙)

EOS D2000 のセンサーフォーマットは「APS-C」。そして、DCS 560 は「APS-H」フォーマットなのです。EOS D2000 のファインダーで見えている範囲は、下の図の一番内側。方やDCS560 の写る範囲は真ん中のライン。つまり、ファインダーで見えている画面の外側が少し、画像に写りこむのです。無理やり合体させたのだから、まぁ、仕方ないよね。

この問題を解決するには、プリズムユニット自体を入れ替えないといけないようです。(ファインダースクリーンの交換では、解決しませんでした。)これまた、難易度の高い作業になってしまうので、今回の改造は、ここまでとします。(今後プリズムの交換方法は、もう1台の完全ジャンクボディーで研究する予定です。絶対に諦めないのが、オタクの特性です!)なんとも中途半端な結果ではありますが、とりあえず、撮影はできるので、次回ブログで、撮影テストの結果を発表いたします。果たして、上手く撮影はできるのでしょうか。次回をお楽しみに。

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・最終回 Canon EOS-1n D2000 2個イチ完結編 はこちら

以上、カメラオタクによる Canon EOS-1n D2000 の中途半端な、2個イチ改造レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

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Canon EOS-1n D2000 Kodak DCS 560 修理編

【当ブログ記事は、貴重なデジカメの2個イチ作業記録です!】

皆さんこんにちは。オタクによるオタクのためのカメラブログにて、興味をお持ちの方のみ、お付き合いください。「Canon EOS-1n D2000 / D6000 入荷編」に続き、第2回 「修理編」を始めます。よろしくお願いいたします。

まずは、DCS560(CCDセンサー搭載の600万画素機)の症状を確認していきます。電源を入れると、背面の液晶は、普通に立ち上がり、各種ボタンも反応していて、設定変更も可能です。しかし、上部液晶画面には、「bc」の表示。カメラ部分が起動しません。取扱説明書には、電源関係に不具合が発生した時。または、カメラの故障時に表示される。と、書いてあります。

ところで、この EOS-1n DCS560 というカメラ。Kodak 社のデジタルユニットを、EOS-1n に組み込んで製造されています。つまり、別々の機械がコラボして、成り立っているデジカメなのです。故に、カメラ部分と、デジタルの部分は独立していて、どちらかが故障しても、正常な方は起動するのです。おそらく、この個体、デジタルの部分は正常である可能性が高いと思われます。

修理方針は決まりました。「bc エラー」は、電池に異常が無いなら、ミラーを動かすための「電磁ソレノイド」というパーツに、不具合が発生した時に表示されることが多いのだそうです。その「電磁ソレノイド」は、カメラ正面のカバーを外せば、簡単に出てくるとのことで、早速チャレンジします。

マウント10時の方向に見える四角い銀色のパーツがそれ。ネットで見ると、プラスチックのカバーが掛かっているはずなのですが、それがなく、むき出しになっています。すでに、修理を試みた跡がはっきりと残されていました。なんだか不安に思いながら、ネットで公開されている修繕方法を試していきます。やはり、どの方法を繰り返しても、改善しません。あいや~!これはまずいぞ。

しかし、諦めがつかず、数日間、同じ作業を繰り返します。が、やはり改善せず。ネットを彷徨うも、この作業以外で、改善できたとの記事は見当たりません。もしや、故障個所は、ほかにある?

何気に、ミラーを上げてみました。(上の写真)デジカメ時代になって、あまりシャッター幕を見なくなりましたが、なんだか違和感が。確認のために、シャッターが正常作動する D2000 のシャッター幕を見てみました。(下の写真)

やっぱり、状況が違うぞ。詳しく観察して、原因が判明しました。先幕が降りたままになっているのです。「bc エラー」はシャッターユニットの故障を示していたのでした。

メニューの中に、トータルアクション(撮影回数)の確認モードが備わっていました。なんと!14万7千回。(カタログではEOS-1n のシャッター幕耐久回数は10万回と謳われています。)すでに寿命を迎えていたのです。さぁどうしよう?いろいろ調べましたが、シャッターユニットの交換作業は、難度が高すぎ、とても私の手に負えるような内容ではありません。残念ながら修理不可能。とりあえず放置することに。

数日後、気を取り直し、今度は、D2000 の修理に臨みました。こちらの症状は、カメラ部分は作動し、シャッターは切れるが、写真を記録できないというもの。他のカメラでの撮影画像は再生できるので、液晶の故障ではないと判断。他の部分に不具合がありそうです。意を決し、分解していきます。

外装の見えるねじを、外していきます。簡単にカバーが外れ、液晶画面の付いたメイン基板が現れました。

メイン基板を外したところ(上の写真)。見えている2枚目の基板が、おそらくセンサーユニットです。さらに、分解を進めます。

やはり、センサーユニットでした。なんだか、焦げ臭いです。詳しく観察すると、上写真右側に焦げた跡が確認できます。おそらくこれが原因の故障ですね。しかし、原因が判明したところで、部品が無いから修理など不可能ですね。これまた、行き詰まり、途方に暮れています。

結局、何も見なかったことにして、そのまま、元通り組み立て、その日の作業は終了。嗚呼・・・・・・無念。

ここまで、読み進めていただきまして誠にありがとうございます。次回は、追い込まれたオタクが、無謀な修理計画を推し進めることになるのですが、果たして、上手くいくのか?次回ブログをお楽しみに!

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Canon EOS-1n D2000 Kodak DCS 560 入荷編

【当ブログ記事は、貴重なデジカメの2個イチ作業記録です!】 

この胸の鼓動が、画面の向こうにいらっしゃる皆様に、聞こえているのではないか?と思えるほど、興奮しています!大げさのように思われるかもしれませんが、カタログでしか見たことのない博物館級カメラが、しかも!2機種!今、眼の前に現れたのですから、大目に見てやってください。皆さんこんにちは。本日は、カメラの新入荷をご案内させていただきます。とても、珍しいカメラにて、少々興奮気味のオタクです。改めて、ここからは、カメラオタクによる、カメラオタクのためのブログにて、興味をお持ちの方のみ、お付き合いください。それでは、始めます。みなさん、よろしくお願いいたします!

・Canon Professional Digital Camera EOS-1n D2000

・Kodak Professional DCS 560(EOS-1n D6000)

いつもお世話になている常連のお客様のご来店から、この話は始まります。そのお客様は、ニコニコしながら私の前に、カメラバッグをどん!と置き、「持ってきたで!」って一言。いつものように、お礼を言いながら、バッグの中身を確認させていただきました。見覚えのある軍艦部。そして、その肩には、EOS-1nのロゴ。今日は、フィルムカメラなんだなぁなんて思いながら、取り出すと。

なんと!背面に液晶画面が有るのです!知る人ぞ知るレアなデジカメ。その名も、EOS-1n D2000 と DCS560(D6000)です!聞いたことすら無い方も多いのではないでしょうか。私は、カタログでしか見たことがありません。興奮するなって言われても、無理なはなしですよ。

現在のCanonのフラッグシップデジタル一眼レフカメラは、フィルムカメラ EOS-1V をベースに開発されたものですが、デジイチ黎明期のカメラは、フィルムカメラ EOS-1n をベースにKodak社と共同開発していました。フィルムカメラを知っている方なら、EOS-1nと聞けば、すぐわかると思います。発売は1998年で、価格はなんと!D2000が、税抜 1,980,000円。DCS560が、税抜 3,600,000円です!いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・・・・。そう!198万円と、360万円です!

お客様がおっしゃるには、両機種とも、某オークションサイトに、故障を隠すかのように、言葉巧みな説明文が添えられ出品されていて、まんまと騙された。そうです。それぞれの、症状を伺うと

・D2000は、シャッターは切れるが、画像を記録できない。しかし、他のカメラで撮影した画像の再生はできる。

・DCS560は、bcエラーで、カメラが起動しない。しかし、液晶画面は起動し、設定などの操作は可能。他のカメラで撮影した画像の再生もできた。

バッテリーが1本と、CFカードアダプターが付属しています。充電器はありません。

非常に残念です。完全なジャンク品です。恐るおそる、あまり高く買えないのだけれど・・・・・と、言い終わる前に、それでいいよとのご返答。いつも、ありがとうございます。ついでに、修理もしませんと付け加えておきました(笑)。 

カメラの中身は、EOS-1nそのもので、操作方法もそのまま。心地よいシャッター音が響きます。デジカメのそれとは、全く異なり、カメラが機械であることを再認識させてくれるような、重厚かつシャープで心地よく、しっかり撮れてるぞって思わせる、その音。いつの間にか、デジタルに慣れてしまい、フィルム機のことなど、すっかりと忘れていた私に、二昔も前の記憶が鮮明に蘇りました。デジタル部分の操作方法は、現在のEOSとは全く異なり、表示も英語で、日本語表示はできません。しかし、そんなことどうでもいい状態になっていて。仕事を忘れ、眼の前の美しい機械に夢中になっているのでした。

ジャンク品として、販売するために準備を進めるのですが、やっぱり、もったいない。なんとかできないのか?との思いが沸き上がるオタクです。数日間悩み、失敗のリスクを顧みず、修理にチャレンジすることを決めたオタクなのです。(病気だな)次回以降、修理に臨む作業風景をお届けする予定です。果たして、うまくいくのでしょうか!?お楽しみに!

・第2回 Canon EOS-1n D2000 修理編 はこちら

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TOPCON UNI   フィルムカメラ入荷

【トプコンのEOS用マウントアダプター作成記事】

皆さんこんにちは。本日、フィルムカメラ TOPCON UNI が入荷しまたので、ご案内させていただきます。一見きれいな個体に見えるのですが、故障しています。本体内のミラーは外れ、シャッターは切れない上に、内部もぼろぼろで、どうしようもありません。しかし、レンズだけは、何とか使えそう。そんなレベルのカメラでした!お売り頂きまして誠にありがとうございます。

廃棄予定だったそうですが、当店のチラシ(壊れたカメラでも、買取いたします!)を思い出していただき、本日売買成立と相成りました。このカメラを復活、活用することが、我々のエコ活動でございます。能書きは、これくらいにして、それでは始めましょう。

オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみ、お付き合いください。よろしくお願いいたします。

このカメラ、1966年ころから販売されていたそうなのですが、特殊なマウントのため、ミラーレス機全盛の現代にあっても人気はなく、中古市場における価格も低めのレンズです。特殊なマウント形状の影響で、マウントアダプターも、市販は、されていません。3Dプリンターによる、個人製作品がたまに流通するだけで、活用には改造の必要性が待ち受けます。強者たちは、M42マウントに自力で変換し、楽しんでおられるようです。このレンズ、53mm f2 のごく普通のレンズですが、前玉のバルサムにUVカット効果を持たせたレンズのようで、映りは良いとの評価が大勢を占めています。私ことカメラオタクは Canon 党ゆえ、 EF マウントに改造することにしました。しぼり数値変更機能が、カメラ本体側のマウントにあるため(このことが、特殊なマウントと呼ばれる理由)、この部分を取り外して、新しいマウントを取り付ける作業が必要です。

では、カメラ本体を分解していきます。分解方法は、セオリー通りです。

マウント部が、カメラから分離できました。

不要な部分を完全に取り除きました。さて、この先どのように改造していくか。具体的な先例などなく、何をどうすれば上手くいくのかなど、皆目見当もつきません。それでも、改造に臨む強者たちは、上手くいった時の喜びの味を知っているため、リスクを取って賭けに出るのです。世の中では、そのような強者たちのことを、カメラ〇鹿と呼ぶそうですが(笑)私もその中の一人なのかな。

(上の写真)見えている左側は、カメラから取り外したマウント部分で、右側が、シグマレンズから取り外した EF マウントです。この2つを、取り付けないといけないのですが、ここで問題になるのが、フランジバッグです。マウント部からセンサーまでの距離は、各社カメラによって、正確に管理されており、0.1mm でもズレると、ピントが狂います。

 まず、両方の部品を取り付けるにあたり、強度のことも考えると、接着剤ではなく、ビス止めする必要があります。レンズ側に EF マウントをあてがうと、ビス止めできそうな部分がありません。なので、レンズ側にまず、金属の輪っかを取り付けます。(上の写真の左側には、すでに、他のレンズから取り出した金属製の輪っかが取り付けてあります。合計5か所あるねじ穴の内、3か所を使て、取り付けてあります。取り付けた、その金属製輪っかに EF マウントの遮光板取り付け用のねじ穴を利用し、取り付けます。

取り付けできました。「まだ、くっついた」だけです。この段階ではまだ、ピントは、距離 0.3m~3m くらいにしか合いません。無限遠が出ていないのです。つまり、もっとフランジバッグを短く調整しないとダメなのです。レンズ後部金属製輪っかの取り付け部分、金属製の輪っか自体、EF マウントそれぞれを、削っていきます。幾度かの調整を経て、無限に合焦するわずか手前のところまで来ました。もう、ほんの少し薄くすれば、完成なのですが、レンズの強度が心配なので、研削作業はこれで終了し、あとは、レンズで無限遠調整を行うことに。

まずは、写真右側の銀色の輪っかを、レンズから外します。

続いて、距離指標板を外し、見えたイモネジ3本を緩めると

ピント環が外れました。

写真にある穴にピックを指して、その部分を回します。無限遠が出ていないなら、写真左側に回し、オーバーインフの場合は、右側に回します。調整の範囲は、わずかですので、初めからここで、調整することは、できません(注)

 これで、無限遠が出るようになりました。続いて、仕上げ作業に。

マウント側に遮光板を取り付け、将来たんぽぽチップを取り付けることを想定し、電子接点は、研削しました。

最後に、しぼりリングの下にある5mmほどの隙間に、レンズフィルターから削り出したスペーサーをはめて、完成です!

どうでしょう。この見た目。上手くいったでしょ?しかも、今回の改造は、アダプターの作成であって、マウント改造ではありません。つまり、違うトプコンのレンズが、同時にEOSで使用できるようになったのです!価値は高いと思うのですが、皆さまどうでしょう?

 映りがいいとの評判ですので、このまま、外でテスト撮影に臨みます。ここまで、すでに半日は経過していますが、アドレナリンが、出っ放しで、疲れを感じていないのです。(はい。オタク度全開です!)

それでは、作例を見てみましょう。まずは、遠景から。

 作例はすべて、しぼり開放、JPEG撮って出し画像です。テストカメラは EOS 5D Mk2  (ISO100 ピクチャースタイル風景 AVモード 評価測光 ホワイトバランスオート)

ロケはJR土佐高知駅周辺です。

JRに接続する、とさでん交通桟橋線電車です。

駅近くの八幡宮

続いて近景作例を見ていきましょう。

ボケ方はどうでしょう。

オールドレンズ特有の写り方ですが、評判通り開放からよく映ります。(レンズの個性を無視して、絞りこめば、画像をくっきりと引き締まらせることはできます。)コントラストとシャープネスを微調整さえすれば十分実用に耐えるレンズだと思いました。作例を見る限り、方ボケもなく、芯どりも問題ないみたいなので一応改造は成功とします。

今回のレンズ改造作業は、普段の改造より難易度は低く感じました。結局使用した部材は、EFマウントと金属スペーサー、フィルター枠1枚だけで、厚み(フランジバッグの調整)の調整しかしませんでしたから。光学系のきれいなレンズが転がっていたら皆さんも、ぜひ改造にチャレンジしてみてください。M42マウントを取り付けることができれば、各社ミラーレス機へ、アダプターを経由してマウントができますよ。

以上、カメラオタクによる UV TOPCOR 53mm マウントアダプター作成レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

最後まで、お読み頂きまして誠にありがとうございます。満Qでは従業員一同、皆様のご来店をこころよりお待ち申し上げております。

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デジタルカメラ 業界裏情報

Canon PowerShot 350 テスト撮影編

 皆さんこんにちは。Canon Power Shot 350 入荷編に続き、テスト撮影編をお届けいたします。オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方は、お付き合いください。それでは、始めます。よろしくお願いいたします。

テスト開始後、即、問題が発覚しました。バックアップ用電池の劣化が原因で、カメラ内に保存されている日付の設定が、2000.01.01になったまま、変更すらできない状態なのです。現在のカメラは、設定記録電源に、市販されているボタン電池を使用しているのですが、当時は、2次電池を、しかも、基盤の中に組み込んでいて、経年劣化しても交換ができないような構造になっています。劣化してしまうと、交換しない限り、状況は好転しません。交換作業は、後日することとし、とにかく、映りのテストを続行しました。

 このカメラ、3cm~70cmの範囲で、手動でピント合わせをするマクロ機能がついています。70cm超の距離は、ピント固定のパンフォーカスです。ピントピークは2mほどに設定されているようです。

まずは、遠景作例から。朝焼け風景

続いて、線路。JR土讃線。(始発電車が走る前の時間帯。)

最後は、稲穂。ん?この写り。どこかで見たことがあるような。

思い出しました。使い捨てフィルムカメラ「映るんです」で撮影した写真です!

35万画素機。精細さを求めてはいけません。しかも遠景は、ピント合わせ不能なパンフォーカス。お世辞にも、実用的とは言えないですね。残念です。

続いて、ピントピーク周辺での撮影。

近所のわんこです。遠景よりは、きれいに映っています!(なんとか、見ることができるレベルという意味ですが)

続いて、マクロ撮影。

どちらも、ほぼ最短距離での撮影になります。(カピカピの鼻に、とげとげの口元。なんとも、かわいい)マクロ撮影は、ピント調整(3cm~70cmの範囲のマクロ撮影はMF操作)ができるため、なんとか実用範囲のデータを得ることができました。

 カメラに液晶画面拡大などの機能は無く、画素数が少ないため、ピント合わせには、慣れが必要です。

 以上が、作例になりますが、皆さんはどう思われましたか?「パソコンでの鑑賞では、想定通りの結果で、実用には、ちょっと厳しい。しかし、携帯端末で見る程度なら、まだ使えるかも?」これが私の感想です。しかしながら、先にも明記した通り、デジカメ産業遺産としての価値を有するため、稼働する当機は、大変貴重だと思います。

最後に、日付バックアップ用電池を交換をする必要があります。テスト撮影結果が残念で、やる気がなくなったオタクですが、気力を振り絞り、再度分解してみます。

やはり、有りました。ストロボ用コンデンサの下側に、丸い2次電池が。ルーペで、確認すると、「GC5.5V 0.47f」と表示があります。調べると、電気二重層コンデンサであることが判明しました。用途は、2次電池と同様とのこと。早速、注文したので、入荷次第、交換作業に入るとします。本日作業はここまで。

数日後、届きました。電気二重層コンデンサがこれ。カメラにあるコンデンサより、大きいので、もとのスペースには収まりません。やむを得ず、並列接続して、コンデンサは、空いたスペースに格納することにします。

 まずは、上の写真のように、端子にリード線をつなぎ、

極性を間違えないようにハンダ付けします。コンデンサは絶縁処理して、ご覧の場所に、テープで固定しました。作業は、たったこれだけ。ものの見事に、日付データは、正確に保存されるようになりました。

それにしても、劣化したら、使い物にならない二次電池を、しかも交換不可能な状態で、装てんしているとは、黎明期ならではの、未熟さですね。ちなみに、2000年発売のEOS D30 の日付バックアップ用電池は、市販されているボタン電池(CR2025)が装てんされており、劣化したら交換が可能になっています。

問題なくご使用いただけるレベルにまでは、整備が完了いたしました。実用的ではないと思われるカメラですが、興味をお持ちの方が、いらっしゃいましたら、ぜひ当店で、実物を手に取ってご確認くださいませ。

電池交換作業自体は簡単でした。しかし、私のように電気工学の知識や資格を持たないものが、基盤に触れると、危険を伴います。実際、ストロボ用コンデンサに触れ、300Vの電流に打たれましたし、過去には、基盤をショートさせた経験も持ちます。発火の危険性もあることでしょう。非常に危険な行為です!このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせには、対応いたしておりません。

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Power Shot 350 入荷編はこちら。

Canon EOS D30 液晶画面修理記事はこちら。

番外:寄り道ぼやき編

今回は、テスト撮影がてら、犬を連れて、早朝の近所を散歩したのですが、ご覧の通り。違法投棄の現場。小学生の通学路上にあるごみ集積場。廃棄したのは、大人であろうことは、だれの目にも明白(不法投棄であることを警告する赤紙が貼られてあります)。環境上も、もちろん教育上もよくありません。同地域に生活するものとして、恥ずかしくも思います。少しでも、ごみを減らす、資源を有効に使いまわすために、我々は、古いもの、壊れたものの修理に努めていますが、このような場面を見ると、我々が行っている(ちっぽけではあるけれど)エコ活動は、世の中に役に立っているのだろうか?と、むなしくなります。最近では多くの人が、「あらゆるものが中古品として、売買されている事実」を認識し、期間中きれいに使用し、要らなくなったら、我々を通じ、次の所有者様を探すエコ活動に参加されています。捨てる前に、めんどくさがらずに、満Qまで、お持ちくださいませ。責任をもって、次の所有者様を、探し出します。不要とされる方から、必要とされる方への橋渡しは、我々満Qの使命です。

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デジタルカメラ 業界裏情報

Canon PowerShot 350 入荷!

 みなさんこんにちは!本日は、Canon Power Shot 350の液晶画面修理レポートをお届けいたします。オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみ、お付き合いください。それでは、始めます。よろしくお願いいたします。

 先日、EOS D30 と同時に入荷したコンパクトデジタルカメラで、デジカメ黎明期の遺産とも呼ばれるオールドカメラになります。発売開始は、1997年で、実に27年前のカメラです。パンフォーカスレンズ6mmの、35KB・1/3インチCCDセンサー搭載のカメラです。35MB機ではなく、35KB機です。そう、35万画素機です。今の時代に、実用機として存続するのは、難しいと思いますが、コレクション用途が、まだ有ると判断し、不具合箇所を修理することにします。

ご覧ください。この有様を。カメラ自体は、通電し撮影はできているようです。しかし、液晶画面が激しく劣化しており、画像確認ができない状況です。その他ボディーもぼろぼろです!液晶画面の修理は、先日 EOS D30 で成功しているため、心配ないのですが、修理できる環境まで、無事分解ができるかどうかが不安です。それでは、早速分解を開始していきます。

 本体側面にあるねじを外すと、上の写真のようになります。さらに基盤を外していきます。

 外した基盤の下に、まだ基盤が見えます。

 損傷させないよう、慎重に基盤につながるフレキシブルケーブル等を外していきます。

液晶部分がやっと、外れた。さらに進みます。

やっと、修理可能な状態まで、分解できました。

 偏光フィルムを剥がします。この作業は簡単でした。

続けてガラス板上の糊を剥がします。この作業、てこずります。

 きれいになりました。ここに、角度に注意しながらカットした偏光フィルムを貼り付け、再度組み立てていきます。

はい。完成!ボディーも溶剤やクリーナーを駆使し、磨いていきます。一部、再塗装も施しています。デジタル初期のころのカメラだからか、本体の中は、スカスカで、空きスペースも多く、作業自体は難易度低めです。作業に必要なものは、プラスの精密ドライバーと、ピンセット、カッターナイフに綿棒、溶剤、偏光フィルムくらいで、特別なものは不要です。ここまで、作業時間約60分。

35KBという超低画素機が、どのような映りをするのか、デジカメ遺産としての価値を有する当機に興味は尽きません。次回、テスト撮影結果をアップしますが、果たして実用に十分こたえることができるのか?今となっては、このような低画素カメラでの撮影を、経験できるチャンスは、滅多にないでしょう。発売後、四半世紀が経過した古いコンパクトデジカメは、市場にあまり出回りません。ましてや、稼働品となると、さらに少ないです。そういった意味では、貴重なカメラ。修繕は完了していますが、テストが終了してからの販売とさせていただきます。次回の、テスト撮影編に乞うご期待あれ。

Power Shot 350 テスト撮影編記事はこちら。

Canon EOS D30 液晶画面修理記事はこちら。

以上、カメラオタクによる Canon Power Shot 350 液晶画面修繕レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

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デジタルカメラ 新入荷 業界裏情報

Canon EOS D30 入荷

 皆さんこんにちは。本日は、ビンテージ デジタルカメラが入荷しましたので、ご案内させていただきます。

「Canon EOS D30」と「Power Shot 350」の2機種で、ともに、20年以上前に製造販売された、いわゆるオールドデジカメと呼ばれる、おふるカメラです。いえ、ビンテージカメラです。

 しかも、2台とも、液晶画面に問題があり、このままでは、使えないカメラです。一般人から見ると、ガラクタにしか見えないはずです。

 このように、所有者様から見放され捨てられる寸前の古い機器類を蘇らせ、必要とされる方たちへ、橋渡しすることを使命と捉え、活動している身からすると、今回入荷したカメラ達を、簡単には捨てることはできません。上の写真は、整備完了後の画像にて、きれいに見えますが、入荷時は、それはひどい状態でした。

 今回は、まずCanon EOS D30 から修理することにします。発売開始は2000年で、当時30万円以上の価格で、販売されていました。(24年前か。この当時、あんなことしてなぁ。なんて昔を懐かしみながら作業に入ります)

 液晶画面が、写真のようになっており、画像を確認するのが、難しい状況です。撮影や記録など、カメラ機能に問題は無く、データをパソコンに吸い上げると、ちゃんと記録はできています。しかし、撮影画像をその場で、確認できないのは、致命的です。(フィルムカメラの時代なんて、ラボで現像してもらうまで、確認などできなかったのに。)

詳しく症状を確認します。液晶は、内部の画面自体の表面が変化または、劣化しているようで、表面に凹凸があり、波打っています。(アップの写真を撮り忘れました)さらに詳しく観察するため、カメラ裏側のボードを、分解します。(見えているねじ3本、親指があたるラバーグリップを剥がしたところに、ねじが3本。合計6本のねじを外せば、下の写真のようになります)

 写真は、すでに液晶画面の表面部分を一部削っています。(ガラス板の表面にフィルムのようなものが、貼り付けられているのですが、そのフィルムが、劣化しているようです)この段階で、一旦再組立てし、確認してみます。

こんな感じ。表面のフィルムが、分厚く、頑丈に張り付いており、簡単には剝がれませんでした。削った部分は、ガラス板がむき出しになっています。

 そして、通電。画像を再生してみます。ご覧のように、フィルムを剥がした場所は、画像が映りません。(汗)やってもうた!剥がしたフィルムには、電極のようなものは、何もなく、フィルムに電気が流れているようには、感じなかったのに。でも、映らないのは、事実。しかも、他の部分は、ちゃんと再生している。液晶ディスプレーの原理が理解できません。(涙)

 気を取り直し、液晶ディスプレーの原理について調べました。シャープさんが、詳しく解説してくれていました。電極の表面をガラス板で挟み、表面に偏光フィルムを張り付けている。

 なるほど、剥がしたフィルムは、偏光フィルムだったのか。では、フィルムを貼り直せば、治る?早速、アマゾンをぶらつき「PATIKIL 165 mm 粘着式直線偏光フィルムシート」を見つけ、注文!

 おお~!映っている!やっぱり、剥がしたのは、偏光フィルムだった!でも、このフィルム。角度によって、見え方が変わります。

偏光フィルムの角度に注目ください。上の写真から90度右に回転させています。画像が全く映りません。レンズの先端に装着するPLフィルターも、そういえば偏光フィルターって言ってたな。そんなことを思い出しながら、角度に注意し、画面サイズにフィルムをカットします。

液晶画面に残る糊を、カッターと有機溶剤で、きれいに落とします。(下地がガラスなので、作業は簡単です)

ようやくきれいになった。

貼り付け後、テストします。

映ることを確認後、フィルム表面の保護薄フィルムを剥がしてから、組み立て直します。

 完成です。ちゃんと映っています。原理さえ知っていれば、簡単に治せます。デジタルカメラにとって、液晶画面は重要なパーツです。直接、撮影画像に影響はないとはいえ、その場で確認できないのは、やはり致命的でしょう。これで、ストレスなく、ご使用いただけます。それでは、店頭で販売を開始しますね。本体代金に、偏光フィルム(実費のみ)を加算させていただき、税込み〇〇円で販売します。気になる方は、店頭で価格を、ご確認くださいませ。同時に入荷したPower Shotも同様に液晶画面が死んでおり、そのままでは、商品にはなりません。修繕が完了いたしましたら、ご報告させていただきます。

Power Shot 350 入荷編はこちら。

Power Shot 350 テスト撮影編はこちら。

以上、カメラオタクによる Canon EOS D30 液晶画面修繕レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

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アニメフィギュア ホビー レトロおもちゃ 業界裏情報

オモコロ 掲載ありがとうございます!

 みなさんこんにちは!本日は、満Qを、「オモコロ」に紹介していただきましたので、お礼を込めて、ご案内させていただきます。

 記事は、神田(こうだ)様により紹介していただいています。高知にお越しいただいた際、我が満Qにも、お立ち寄り頂いたようで、その時の様子を、掲載していただいています。ご来店ありがとうございました!

 記事はこちら。

 神田様の、うれしいコメントに、思わず、掲載許可を頂かず、勝手にリンクさせていただいています。

 再度来県していただく機会がございましたら、ぜひともお立ち寄りくださいませ。従業員一同、こころよりお待ち申し上げております。

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デジタルカメラ 業界裏情報

OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35〜70mm F4 第4回「テスト撮影」編

 皆さんこんにちは。第3回「レンズ改造」編に続き、「テスト撮影」編をお届けいたします。オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみお付き合いください。それでは、よろしくお願いいたします。

 テスト条件は、いつもと同じです。(割愛します)

 F4 開放 周辺減光は認めますが、歪曲も少なく、中心解像は良好です。

 F8 十分な性能です。

 F4 開放での遠景テスト画像

F8 絞っての遠景テスト画像

 この画像では、判別しにくいのですが、周辺部まで、ビシッと解像していて、実に気持ちいいです。で、AF反応速度、感度は過去のAF黎明期のレンズの中で、一番良好です。AF自体も早くノーストレスで撮影が可能です。

 高知県大豊町 定福寺

 以上、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35〜70mm F4による作例でした。時間があまりなく、今回だけの持ち出しとなり、より多くのパタンでのテスト撮影はできませんでしたが、発色もよく、歪曲などの収差も気にならない優秀なレンズのようです。より深い素性確認は、新しい所有者様にお任せすることとし、改造を施したまま、現状販売を行います。(可逆的改造ですから、元に戻すことも可能です。)すでに、店頭に陳列いたしております。興味をお持ちの方は、ぜひ当店でお試し下さい。なお、EOS以外のカメラで、ご使用を想定されている場合、マウントアダプターとお使いのカメラをお持ちいただけますと、その場で、即動作確認していただくことも可能です。満Qでは、皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。

 以上、カメラオタクによる OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35〜70mm F4 AF 改造レポートでした。ここまで、お読みいただいまして誠にありがとうございます。最後に、お約束事項。カメラ分解には、故障や怪我など、それ相応のリスクが伴います。このブログを参考に同じようなことをされたことにより発生する、トラブルや障害には、当方は一切関与いたしません。自己責任の範囲で、お楽しみください。なお、分解工程に関する内容のお問い合わせにも、対応いたしておりません。

第1回「レンズ入荷」編はこちら

第2回「レンズ清掃」編はこちら

第3回「レンズ改造」編はこちら

 最後まで、お読み頂きまして誠にありがとうございます。満Qでは従業員一同、皆様のご来店をこころよりお待ち申し上げております。

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OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-ZOOM 35〜70mm F4 第3回「レンズ改造」編

OLYMPUS ZUIKO AUTO-ZOOM 35-70mm F4AF OMマウント

 皆さんこんにちは。第2回「レンズ清掃」編に続き、第3回「レンズ改造」編をお届けいたします。オタクによるオタクのためのブログにて、興味のある方のみお付き合いください。それでは、よろしくお願いいたします。

 このレンズ、マウントアダプターを装着していない状態なら、スイッチを入れると、AFが動作します。つまり、機器の故障では無いということ。ではなぜ、アダプターを装着すると、動かないのか。原理は不明。しかし、動かなくするなにかが、あるに違いありません。詳しく観察します。

 装着時、マウントアダプターの爪は、レンズのしぼり連動ピンを動かしながら、所定の場所まで、回ります。装着前と装着後の違いは、そこだけ。しぼり連動ピンが、動くことによってAFが動かなくなるようです。アダプターの、その動きは、本来カメラが行う動作であり、そうしないと、撮影時しぼり幕をコントロールできなくなります。

 レンズに有るしぼり連動ピン(赤丸印)はマウントアダプターに有る爪(矢印)によって、所定の場所まで、動かされます。

 アダプター装着完了後(上の写真)のマウント部。カメラ装着時(アダプター装着時)、しぼり連動ピンは写真の位置に無いと、しぼりのコントロールができません。アダプターの爪を研削すれば、EOSに装着しても、AFは作動すると思われます。しかし、しぼり開放でしか、撮影できないです。

 AFが動かなくなる原因は、分かりました。しかし、対処の方法は思い浮かばず。ん~、もうちょっとなのに!仕方ない、マウント部の分解方法を、ネット検索だ!

 あれから、数日後。意を決し、マウント部の分解作業を敢行します。もちろん、同レンズの分解行程など、どこにもなく、仕方ないので、OMシステムのマウント部分解記事を、読み漁りました。いくつかのトラップに注意しながら、慎重にことを進めよとの進言に従います。

 恐る恐るパーツを外していきます。初めてのOMマウントの分解。キャノン社とは、随分と構造が違いますね。しぼり連動ピンの全容が露わになっています。(上の写真)スプリングに繋がれ、ピンが動いても、スプリングの力で元の位置に戻る仕組みのようです。配線などは見えません。もう少し、進みます。

 しぼり連動ピンに繋がるスプリングを外し、連動ピンを引き抜いてみました。すると、連動ピンの下から、電子接点(金色の部分)部分が出てきました。(上の写真)

 しぼり連動ピンの裏にも、細いアーム上の電子接点が4本。なるほど、電気的に、マウントされたカメラが、OM30かどうかを認識しているのだな。もう少し詳しく観察すると。しぼり連動ピン裏の電子接点は、カメラにマウントされていないときは、もう一つの電子接点に触れていません。(電子接点同士が触れていなければ、レンズ単体でもAFは作動する)カメラにマウント(アダプター取付)されると、しぼり連動ピンが動き、接点同士が接触し、カメラ情報がレンズに伝達されるようです。

 まとめると、レンズにカメラがマウント(接続)されると、しぼり連動ピンが、あるべき位置に移動し、しぼりコントロールできるようになる。と、同時に、電気的通信によって、接続されたカメラ(OM30)を認識し、AFを動作させることができるようになる。仕組みのようです。(あくまでも個人的見立てです。)

 と言うことは、マウントアダプターの接続後、電気的通信ができないようにすればいいだけのこと。しぼり連動ピン裏の電子接点を撤去するのが簡単なのですが、可逆的改造とするため、もう一つの接点をマスク(通信不能な状態にする)するとこにしました。

 結果は。・・・・・・・・・・・・OK!

 マウントアダプターを装着しても、AFが作動しました!(EOSにマウントしても、AF機能を発揮したのです!)大した分解行程も必要とせず、作業自体は実に簡単なものでした。この事実は、多くの方に朗報となるのではないでしょうか。今まで、OM30以外では、使い道が限られていたレンズなのに、マウントアダプター経由で、各社ミラーレスカメラでAFレンズとして、使用することができるようになるのです。使用することなくこのレンズを眠らせていらっしゃる方は、是非とも、プチ改造を施した上で、現代のデジタル時代に蘇らせてはいかがでしょうか。

 当店には、ここ2年ほどの間に、1980年代前半(ミノルタα-7000発売前)に登場したAF黎明期のレンズが、このオリンパス社のレンズを含め、合計6本入荷しました。(6本とも、EOSで使用できるよう、整備・改造して販売いたしました)

当店に過去入荷した黎明期のレンズたちの整備・改造記録記事

RICOH AF RIKENON 50mm F2

AF AUTO CHINON 50mm F1.7

COSINA AF ZOOM 28-70mm

NEW FD 35-70mm f4 AF

AUTO CHINON ZOOM 35-70mm f 3.3-4.5 AF 

 ミノルタα-7000発売以前のAFレンズは、全部で7種類あるとのことで、残すは、PENTAX社から発売された世界初のTTL AFシステムカメラとセットで販売されたレンズだけです。

 このレンズは、asahi.netさんの情報によると、レンズにモーターや電池BOXを備えているが、カメラ内でのTTL AF検出とのこと。EOSでAFレンズとして、使用することは難しそうです。ですが、一度見てみたいです。もし、ご使用されていない、同レンズをお持ちのお客様は、是非とも当店にお売り下さいませ。よろしくお願いいたします。

 ここまで、読み進めていただきまして、誠にありがとうございます。修理?改造?が終わったこのレンズを持ち出し試し撮りをしていきます。次回、テスト結果を公表いたします。さぁどのような素性を持つレンズなのでしょうか。乞うご期待あれ。

※ブログをアップ次第、リンクを貼り付けていきます。

第1回「レンズ入荷」編はこちら

第2回「レンズ清掃」編はこちら

第4回「テスト撮影」編はこちら

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