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デジタルカメラ 業界裏情報

Canon EOS D6000 入荷編

皆さんこんにちは。本日は、希少なカメラが入荷しましたので、ご案内させていただきます。しかも!稼働品です!

■機材紹介

このカメラ。中古市場でも、めったに見ないカメラです。実機を見るのは、今回が初めてで、ヤフオクの過去の取引状況から見ても、数の少ないカメラであることに間違いないようです。姉妹機である Kodak DCS 560 なら、現在でも欧米や欧州で、僅かですが取引が有るようです。しかし、そのほとんどがジャンク品としての出品の様です。満Qでも、過去に入荷したことが有ります!

過去記事 ⇒ 「Kodak DCS 560 + Canon D2000 2個イチ改造記録」

1998年12月発売開始のデジタル一眼レフカメラで、当時のキャノンのフィルムフラッグシップ機 EOS-1n をベースにコダック社のデジタルバッグ(600万画素 APS-H サイズの CCD センサー搭載 価格は、360万円)を搭載したカメラです。キャノン社とコダック社から、別々のモデル名(ファームウェアが異なるだけで、他は全て同じスペック)で発売されたのですが、キャノン社のモデル名が、EOS D6000 で、コダック社のそれは、DCS 560 になります。DCS 560 はアメリカやヨーロッパで数多く販売されたのに対し、EOS D6000 は日本限定モデルでした。

■発売時の時代背景

1990年台、デジタルカメラは報道やスタジオ撮影の現場で活躍し始めていたのですが、巷はフィルムカメラの全盛期であったこともあり、一般人には、まだまだなじみは有りませんでした。EOS D6000 発売開始の1998年のデジタルデバイスの普及率を見てみます。当時のパソコン普及率は約 25%で、インターネット普及率は 13.4%です。デジタルカメラの普及率は2002年からしかデータが有りませんが、それでも 22.7%(ほぼ、コンパクトデジタルカメラ)です。翌年2003年が32%、2004年に 52%と急速に普及している流れを見ると、1998年では、おそらくほぼゼロの状況であったのではと、推測します。

■Canon EOS D6000  生産台数から見る希少性の考察

Canon EOS D6000 にどれほどの需要が有ったのか。生産台数は公表されていませんが、極わずかであったと思われます。なぜなら、国内でしか、販売されなかったこと。価格が 360万円もしたこと。ターゲットは主にプロカメラマンであったこと。(スマホも無く、パソコンもネットも普及していない時代に、一般人がデジタルカメラを必要とする理由は少なかったはず。)キャノン社も正式に業務用カメラとして、販売しています。しかも、プロの現場であっても、国家公務員初年度の年収を上回るような高価なカメラに、会社の撮影機材を一斉に入れ替えたとは考えにくく、まだまだ、フィルムカメラがメインで活躍する時代であったことは疑いようがありません。

ヤフオクなどで取引された機体のシリアル番号から EOS D6000 の生産台数を考察してみます。※サンプル数が少な過ぎるうえ、kodak シリアル番号が生産台数を示す数値かどうかの確証も取れていません。類推した数値には、かなり無理が有ることを承知の上で、あえて恐れず、記述してみます。

上の表は、EOS 自体に記されたシリアルとデジタルユニットに付された Kodak シリアル番号の一覧になります。EOS のシリアルは、番号が大きいほど生産日が新しいという事実が、判明しています。EOS-1n のシリアルは、28万番台が最終(収集サンプルの内、一番新しいシリアルが、283293)です。収集したEOSシリアル 番号の範囲は 250993~269989 で、Kodak のシリアル番号は 533~646 でした。EOSシリアル 168 進むごとに、Kodak シリアルが1つ進む計算です。

ここで、EOS D6000 発売時の EOS-1nのシリアル番号を類推してみます。EOS-1n は 1994年11月 発売開始(便宜上、発売日を生産開始日として計算します)から、EOS-1V が発売される前の月、2000年2月まで、製造されていたとします。製造期間 63 か月。製造総数は、EOS シリアル番号から、185,000台(シリアルスタートは 100001 ~)。1か月平均2,936台製造。ということは、EOS D6000 の発売開始が 1998年12月なので、1998年11月までに、EOS-1n は141,000台ほど、製造されていたことになります。つまり、EOS D6000 に付された EOS の最初のシリアル番号は 241000 前後となります。

EOS D6000 製造数=(283293 – 241000) ÷ 168 = 252 台と推測できます。しかし、Kodak のシリアル番号で、一番大きな数値は、646 です。整合しません。

過去数年分の売買取引履歴における、EOS D6000 に付された Kodak のシリアル番号は、500番台と600番台だけです。そのほかに、EOS D2000 、DCS560 、DCS520 のシリアルサンプルを、合計 23例 収集しましたが、500番台より前の番号が見当たりません。もしかして、シリアル番号のスタートは500番からか?そうだとしたら、やはり、EOS D6000 の生産数は「300台も無い」ということになります。(シリアル番号の件は、サンプルが少なすぎるので、引き続き収集し、製造数解明にチャレンジしていきます)

※上の一覧表において、EOS の製造日新旧と Kodak のシリアル番号の新旧に、ずれが発生していますが、Canon 社は、生産計画に従い Kodak 社からデジタルユニットの供給を受けて、製造完了済みの EOS-1N を改造(根拠は、過去に入荷した姉妹機 DCS 560 の2個イチ改造記録で、分解した内部構造に、その痕跡がしっかりと残されていたから)して、EOS D6000 を製造していたと思われます。別々に生産された機材の改造ゆえに、製造日新旧にずれが発生しているものと推測しています。

ちなみに、1987年から販売されている EOS シリーズは2023年までにフィルム・デジタル込みで 117 種、約 1 億 1,000 万台製造されました。1 機種平均 94 万台製造されたことになります。なのに、EOS D6000 は 数百台程度。いかに、製造数が少ないかを示す数値だと思います。

■国内保存の重要性

上記の内容および、発売後26年以上経過していることを勘案すると、現存する機体は、ごく少数だと思われます。しかも、まともに動作する機体ともなれば、更に一握りであろうことは、想像に難くないです。現在、修理を受け付ける業者もなく、部品の入手も困難なことから、動作機体は、今後増々減少していくであろう状況です。

しかも厄介なことに、ここ最近、デジカメ黎明期を支えたカメラとしての歴史的価値を見直す動きが、中国人によって活発になっており、日本から、どんどんと持ち出されています。フィルムからデジタルへと移行する過程における、キャノン技術の転換点を示す象徴的な存在と言える EOS D6000 に、我々はもっと、文化遺産的価値を見出し、国内で、大切に守るべきだと考えます。デジタル一眼レフの歴史の証人であり、博物館級の希少機材です。

■Canon EOS D6000 を使用する意義

文化遺産的価値を見出すことは簡単ですが、実際に活用することの意義に関しては、少し整理が必要です。スペック的に現代のカメラに勝る機能は有していません。使い方が重要だと思います。

CCD センサー:当時は、未完成だった CMOS センサーの画像よりも、発色が良いと評価されていましたが、現在では、CMOS センサーの性能には敵いません。しかしそんな CCD センサーの画像も、現代の高性能な現像ソフトの恩恵を受けることが可能です。

600万画素:使用する目的によっては、現在でも十分に事足りる画素数だと感じます。

連写性能:秒間1コマ。最大3コマまでの連写が可能。と、いうか連写とは言い難いコマ数です。決定的シーンの撮影には、連写で挑む私にとって、この性能、物足りなさを感じるなぁ。ジャンルや被写体を問わず、もう少し欲しいと思うのは、私だけかなぁ。

高感度耐性:ISO 80~200 までしか設定できない。日中の屋外撮影では、問題なく使用可能です。しかし、室内撮影や夜間撮影には、大口径レンズやストロボの使用あるいは、三脚の使用が必要になり、使うシーンを選ぶカメラです。

現場での注目度:すさまじい視線を浴びることになります。現在のデジカメでは聞くことのできない、小気味よいシャッター音に気づく年配のおじさまからの視線が一番アツイです!ちょっと見せてくれないかと声を掛けられたほどです!もしかして、最大の意義はこれか!?

いえいえ。実際にオールドデジカメを使用されている方は一様にこう、おっしゃいます。「不便さを楽しむカメラ」なんだと。光を読み、動きを読んで、一瞬のチャンスに集中し、一発勝負であったフィルム撮影の時と同じように、被写体に向き合うんだと。

ん~。私には分からない深い世界があるに違いありません!不便なカメラを使用されていらっしゃる方って、今までの経験上、だいたい写真がお上手なんです。最新のデジタルを所有されているにも関わらず、それでも、オールドデジカメを積極的に活用されるのです。写真の本質って、きっと、そこに有るのでしょうね。

付属する電池の劣化が激しく、撮影ができないため、現在、互換電池を海外より、取り寄せ中です。作例ができ次第、改めてご紹介させていただきます。

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